IPCC議長、気候変動に伴って水管理が重要になると強調

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のRajendra Pachauri(ラジェンドラ・パチャウリ)議長は2008年5月23日神戸で、気候変動が引き起こした洪水や渇水によって、環境難民が生み出され、食品価格が急騰しているので、温室効果ガス削減対策に加えて積極的な水管理が必要になっていると述べた。

世界各国からの政治家の環境フォーラムであるGLOBE Japanが公開したセミナーにおいて、同議長は、気候変動の軽減と水管理には同一歩調を取って対処しなければならないと述べ、2つの問題に対する対策を講じるには数年しかないと警告し、神戸に集まった各国の環境相に5月24~26日に開催される先進8カ国環境相会合の議題に水問題を追加するよう要請した。

パチャウリ議長が述べたことの要点は、次の通り。

気候変動とそれに伴う水問題、すなわち豪雨とひどい干ばつ、は、貧しい地域にもっとも大きな影響を与える。アジアでは、たとえば、積極的な気候変動の軽減策や水管理の取り組みがここ数年の間に取られなければ、1200万~12億の人々が水に対するストレスの増加によって影響を受け、2050年までに世界の農産物生産量が30 %も減少することになる。

ヒマラヤの氷河が溶けているということは、中国、インド、ネパールといったこの氷河に依存している川のある諸国にとっては水が少なくなり、同時にバングラデシュのような低地にある国には洪水がもたらされることを意味する。

日本では、低地の水田の米の生産量が2050年までに40 %減り、また410万人(総人口1億2700万人のうちの)もの人々が海面上昇に関連するリスクにさらされることになる。

気候変動は、生態系に与える変化を悪化させ、激化させ、また淡水の利用可能性に影響を与える。

現在のライフスタイルを変えることは世界の人々にとってそんなにつらいことではない。それは、気候変動を緩和するための対策を講じ、水の使用を減らし、非森林地域に植樹することなど効果的な水管理方法を実施するためにライフスタイルを変えるとしても世界の国内総生産のたった0.6 %を下げるだけですむからである。