ルーマニア、上下水道の拡張・近代化や排水処理場新設が加速――2013年までの水関連プロジェクトへの投資額は約33億ユーロ

ルーマニアにおける現在の上下水道普及率はわずか50%強。同国の「環境と持続可能な発展」省は、これを2015年までに70%にまで引き上げたい意向だ。

EUによる支援プログラム「オペレーションプログラム環境」の枠組みにおいて、ルーマニアで実施される予定のプロジェクトの総額は2013年までに56億ユーロ(約8,245億円)。そのうち水セクターへの投資額は、廃棄物、地域暖房、自然災害予防などへの投資を大きく上回る33億ユーロ(約4,859億円)である。33億ユーロの資金のうち、実際にEUが負担するのは28億ユーロ(約4,122億円)、残りの4億9000万ユーロ(約721億円)はルーマニアの国家予算から拠出される。

 

資金の具体的な使途としては、首都ブカレストをはじめ国内41群すべてにおける上下水システムの拡張・近代化工事、さらに170の排水処理場新設が予定されている。一部はすでに許可手続きを終え、建設公募が始められている。

プロジェクト実施を統括するブカレストの行政官庁(Managing Authority)によると、既に総額6億3900万ユーロ(約1,020億円)相当の6つの大型プロジェクトが承認済み。この他にも、当局は、3つのプロジェクトの調整作業に取りかかっている。これらのプロジェクトは費用が高額なため、欧州委員会の同意を得る必要がある。さらに、2008年から2009年にかけて実施予定の上下水関連プロジェクトの数は約30件にのぼる。このほかにもEUによる助成期間が終わる2013年までには無数の計画が立ち上げられるであろう。

 

すでに確定済みの6つの大型プロジェクトうちのひとつが、「北西地方ウォータープロジェクト」だ。同プロジェクトでは、第一に、総工費用1億9700万ユーロ(約290億円)をかけて、Cluj郡とSalaj郡における上下水インフラの改築工事および8件の排水処理施設建設工事が予定されている。さらに、8,000万ユーロ(約118億円)を投資して、Turda市とCampia Turzli市(いずれもCluj郡に位置する)における整備事業が計画されている。

ちなみに、ルーマニアでは、ブカレスト行政官庁の他に、8つの地方政府に、現場で環境プログラムを監督する”Organism Intermediar(中間組織)”と称する下級官庁が設けられている。しかし、いずれの機関でも、経験上、問い合わせに対する迅速な対応は期待できない。従って、各プロジェクトの公募に関心がある事業者には、できるだけ、所轄の国営企業に直接コンタクトをとることをお勧めする。例えば、前出のCluj郡およびSalaj郡におけるプロジェクトでは、Compania de Apa Somes S.A.社が担当企業となっている。

 

EUオペレーションプログラムの範囲外でも、数多くのプロジェクトが計画されている。例えば、Cluj郡の郡都であるCluj-Napocaでは、ルーマニアのEU加盟前に、加盟準備のためにあてがわれた助成金を資金源とした、6,100万ユーロ(約90億円)相当のプロジェクトが進行中だ。この他にも、国家や自治体の予算だけで実施されているプロジェクトもある。

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