GEとシンガポール国立大学、共同で水技術の研究センターを設立

GE Energyの下部門であるGE Waterとシンガポール国立大学(NUS)は、2009年3月19日、共同で同大学構内にシンガポール水技術センター(NUS-GE Singapore Water Technology Center)を設立することで合意したと発表した。GEとNUSは設立のために、合計で1億ドル(9900億円)を出資する。同センターでは、GEの研究者とエンジニアが低エネルギー海水脱塩技術や水再利用技術、その他の水の効率的な再利用に関する研究開発を行う。同センターの設立により、基礎研究が促進され、水処理における産業革新が進むと予想される。また、政府と国内外の企業との連携がより強固なものとなることも期待される。最新設備を備えた同施設は、2009年の中頃には完全に稼動する予定である。

 

同センターは、世界中に散らばるGEの開発拠点の中でも最も新しい施設であり、GEが抱える技術センターのネットワークに参加することになる。

 

同センターは、中国、インド、中東をはじめとして世界中で起こっている水不足などのいくつかの主要な水問題を解決することに焦点を当てている。今日、世界では11億人もの人々が、安全な飲料水を手に入れることができないでいる。2025年には、28億人が水不足の地域で生活すると予想されている。産業界は、水の再利用によって増大する安価な水資源への需要に応えようとしている。地方自治体は、飲料水を生産するために膜を利用したプラントを次々と建設し、産業向けに再利用するための廃水を探し求めている。

 

同大学副学長のBarry Halliwell教授は、「本学は、GEと協力して水関連技術を研究するセンターを設立することに、非常に満足している。NUSとGEの共同研究により、解決できる世界の水問題が増えるだろう。また世界の水関連セクターに関わる大学の教育分野の裾野も広がるだろう」と語っている。

環境・水産業推進委員会(EWI : Environment and Water Industry Development Council)のManohar Khiatani氏は、「同センターは、GEと世界有数の水技術開発拠点であるシンガポールのパートナーシップの象徴である。我々は、同研究所発の技術革新を商業化するために、シンガポールを実験台として、あるいは次世代水技術をデモンストレーションする場として、GEがシンガポールの活力ある生態系を活用し続けることを歓迎する」と語っている。

GE Water社のCEOであるHeiner Markhoff氏は、「GEとシンガポールは、水分野のリーダーと認識されている。GEはエネルギー効率に優れた技術を提供し、また水を再利用することで水の利用度を上げるよう委託を受け、シンガポールはこれらの技術を実施・試験している。同センターは、世界が求める我々の先端技術を高めることに、大きく貢献するだろう」と語っている。

GE Waterとシンガポールはより効果的な水問題のソリューションを提供するために、共同で事業を行ってきた。浸漬空洞繊維膜を利用したGEのZeeWeed限外ろ過技術は、処理された廃水から高品質な再利用水をつくるために、Bedok NEWaterプラントとUlu Pandanにある同国で最初の大規模メンブレン・バイオリアクター(MBR)プラントで利用されている。重要な飲料水製造プラントであるChestnut Avenue Water WorksとChoa Chu Kang Water Worksの2ヶ所でも、水を浄化して飲料水を得るためにGEの限外ろ過膜を利用している。GEは水の浄化・保全技術の分野で世界的なリーダーである。

 

NUSのエンジニアと研究者も、シンガポールの水質・水資源管理の分野でリーダーシップを発揮しており、彼らがGEと協力することで、水質・水資源管理の研究はさらに発展することが期待される。

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