SUEZ Environment、Agbar Water & Environmentの全経営権を取得へ

GDF SUEZグループ傘下のSUEZ Environmentは2009年10月22日、スペインの水ビジネスの最大手Aguas de Barcelona(Agbar)に関する取引でCriteria CaixaCorp(Criteria)と拘束力のある予備協約を結んだことを明らかにした。これにより、SUEZ EnvironmentはAgbar Water & Environmentの事業の全経営権を取得し、スペインにおけるピュア・プレーヤーになるとともに、それ以外の重点国においてもプレゼンスを高め、急速に成長しつつある市場での立場を強化することになる。この戦略的取引は、ともにAgbarの株主であるSUEZとCriteriaの変わらぬ信頼関係にもとづくものであり、また、Agbar経営陣の全面的な支持も得ている。

今回のSUEZとCriteriaの取引の内容は以下のとおりである。

  • Agbarは、自社の未上場株を1株あたり現金20ユーロ(約2600円)、総額2億9900万ユーロ(約389億円)で公開買付けを開始する。この未上場株公開買付けにより取得した株式は、その後、償却される。
  • SUEZ EnvironmentはCriteriaから、Agbar株を1株あたり20ユーロで買い取り、SUEZ EnvironmentのAgbar株保有率を75%に高める。このAgbar株買取りの総額は6億4700万ユーロ(約843億円)となる。
  • 同時にAgbarは、Adeslas株の54.8%を総額6億8700万ユーロ(約895億円)でCriteriaに売却する。
  • それと並行してCriteriaはさらにAdeslas株の45%をMalakoff Medericから買い取り、Adeslasの全経営権を取得する。

この取引は、魅力ある水市場におけるSUEZ Environmentの地位を高め、Agbarのユニークな資産ポートフォリオの掌握を完成させるとともに、規制下事業と非規制下事業とのバランスを改善するもので、SUEZ Environmentの強力な戦略と経営理念のあらわれといえる。

この取引についてSUEZ EnvironmentのJean-Louis Chaussade CEOはこう述べている。「今回の取引はSUEZ Environmentにとって大きな戦略的前進だ。SUEZグループはヨーロッパの事業における第2の柱をここに打ち立て、国際的な地位を強化する。スペインに1200万の顧客をもつピュア・プレーヤーであり、それ自体フランスにおけるLyonnaise des Eauxに匹敵するAgbarの経営権を友好的に獲得できたことで、われわれは、長期株主としてつねにわれわれの側に立つ歴史的パートナーであるCriteria CaixaCorpの支援のもと、スペインにおけるリーダーシップを強化することができる。この取引は、イギリス、チリ、メキシコ、中国、アルジェリアなどにおけるSUEZ Environment独自の基盤に加えて、われわれの国際的優位性をさらに高めるものだ。われわれは地理的にもビジネス分野においても相補性をますます強化し、特に技術革新という点においてたがいのノウハウを伸ばし、企業発展の実績において大きく成功しているAgbarの経営力をてこに大きく成長していきたい」

Agbarは、成長市場とされる水ビジネスにおけるフル・サイクルのプレーヤーで、スペインとチリにおいてはトップの座を占め、イギリス、メキシコ、アルジェリア、および中国にも進出している。AgbarのWater & Environment部門は急成長(2006年から2008年にかけて年率9.0%の成長)しており、EBITDAの伸びも2008年には28.1%を記録した。

AgbarとSUEZ Environmentの力が合わさることにより、特にスペインと外国の成長市場におけるさらなる地位向上、営業力と経営力の合体、浄水インフラや淡水化などの業界随一の専門技術の共有、研究開発、および持続可能な発展という点でグループ全体の成長がうながされることはまちがいない。

 

Agbarについて

Agbarはスペインで27%の市場占有率を誇る最大手のフル・サイクル水ビジネス・グループで、1200万人以上に上水を供給し(民営上水道では50%のシェア)、約1000万人に下水サービスを提供している(民営下水道では30%のシェア)。Agbarの2008年の売上は31億800万ユーロ(約4055億円)、EBITDAは6億2000万ユーロ(約809億円)だった。Agbarは、スペイン以外ではチリとイギリスで規制下の(インフラ所有型の)水道事業を、メキシコ、コロンビア、アルジェリア、中国などでは非規制下の(インフラ非所有型の)水道事業を営んでおり、従業員数は全体で約1万4500人である。SUEZ Environmentは1979年からAgbarの株を一部保有していた。

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