台湾環境保護署、モリブデンとインジウムの水道水質基準を制定

台湾環境保護署は2009年9月23日、水道水質基準を改定してモリブデンとインジウムの濃度上限値を新たに追加したことを明らかにした。

新たな水質基準ではまた、ハイテク工場や鉱山など、モリブデンまたはインジウムを排出するおそれのある場所から5キロメートル以内に取水口をもつ浄水プラントは、3ヵ月ごとに水質検査を実施してこれら2種類の金属の濃度を確認しなければならなくなった。

新たに追加された2種類の金属の濃度上限値は、モリブデンが0.07 ppm、インジウムが0.7 ppmで、この規制は公布と同時に発効した。

これについて環境保護署は9月23日の声明文のなかで、「先端科学産業団地が増え、さまざまなハイテク企業が誕生していることが、自然の水界の水質に大きく影響している」と述べている。モリブデンとインジウムは、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT-LCD)の生産に使われている。

 

ハイテク工場群の近くですでに水質汚染

コンピュータ・メーカーや半導体メーカーの工場がいくつかある新竹(Hsinchu)市の住民は以前から、市の水道水の水源のひとつでもある霄裡溪(Siaoli River)にハイテク工場が廃水を流しているのではないかという懸念をいだいてきた。

2008年10月から2009年5月にかけて、環境保護署が霄裡溪から水のサンプルを採取して調査した結果、モリブデンとインジウムの濃度が通常のバックグラウンド・レベルを超えていることがわかった。さらに、政府の統計によると、この地域のふたつのTFT-LCDメーカーが、毎日3万トンの廃水を霄裡溪に流していることがわかった。霄裡溪の水は、1500ヘクタールの農地の灌漑にも使われている。

2008年10月、モリブデンとインジウムが霄裡溪ではじめて検出されたとき、環境保護署は付近の住民に地下水の使用をやめるよう要請した。

このとき以来、環境保護署は毎月45万ニュー台湾ドル(約130万円)をかけてこの地域の700世帯に水を運んでいる。

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