タイ、工場からの廃水や大気汚染物質の排出に環境税を導入へ

タイ財務相財務政策局(FPO:Fiscal Policy Office)と工業省工場局(DIW:Department of Industrial Works)、およびチェンマイ大学は、2009年11月8日、共同で実施していた環境税に関する新法案の策定作業を終了した。

2007年から続いてきた環境税に対する議論は、賛否両論あり、議論が長引いていた。民間企業は、こういった税金は不公平であるとして、環境税導入に反対していたが、汚染に対する住民からの抵抗を和らげ、環境を改善するため、コストがかかっても企業は環境税導入を受け入れると見られていた。紆余曲折を経て、2009年9月と10月に開催された公聴会では、環境税導入に関する同法案は、ステークホルダーからの支持を集める結果となった。

 

新法案は、工場からの廃水および大気汚染物質排出(SO2やNOx、粉塵など)に対して、環境税を課すものである。税率は、工場の規模および有害物質の排出量によって、決定される。

大気汚染に関して、小規模工場は、年間一律1万~3万バーツ、中規模工場は年間一律3万~5万バーツの税金が課される。また、大規模工場は、SO2やNOxの排出量1トン当たり1000~2000バーツ、粉塵については排出量1トン当たり1500~2500バーツを納める。

一方、廃水に関しては、一日の排水量が1~50m3の小規模工場については、年間一律1000バーツから3000バーツ、50~500m3の小規模工場については年間一律3000バーツから1万バーツを納める。一日の排水量が500m3を上回る工場は、BOD(生物化学的酸素要求量)や懸濁物質に応じて、排出量1トン当たり2500~1万バーツを納める。ただし、工業団地内の製造工場は、工業団地に対して廃水処置費用を支払っているため、廃水に対する税金が免除される。

 

同税制度による税収は、物品税局(Department of Excise Tax)が3%、工業省が25%を受け取り、工業省は工場監査のために税収を利用する。また、税収の残り72%は、研究開発資金として、廃棄物処理施設の改善や汚染状況のモニタリングのために利用される。

※レート:1バーツ=約2.7円(2009年11月現在)