英テムズ・ウォーター、同国初の大規模な塩水淡水化プラントを運転開始

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英国の水道会社、テムズ・ウォーター社が2010年6月2日、同国本土で初となる大規模な塩水淡水化プラントを落成した(以下のリンクに同社のプレスリリース)。深刻な水不足に苦しむロンドン市に対し、渇水時に大量に必要となる予備水源を供給する。
http://www.thameswater.co.uk/cps/rde/xchg/corp/hs.xsl/10279.htm

総工費2億7000万ポンド(約350億円)をかけて建設されたテムズ・ゲートウェイ水処理場は、東ロンドンのベックトンに設置され、必要時にはテムズ川の水を、高品質の飲料水に精製し、最大100万人のロンドン市民に供給する。テムズ川は、感潮河川であり、潮の満ち引きの影響を受ける。そのため、同河川を流れる水には塩分が含まれているのである。同プラントは、最大でロンドン市民100万人に飲料水を供給することができる。

同社は現在、ビクトリア時代に敷設された、水の漏洩が多い給水本管の取替え作業を急いでいて、過去5年間に漏洩量を4分の3以下に減らしてきた。しかし、これだけでは渇水時に、ロンドンに対し十分な水を供給できない、と判断した。英国環境庁は、ロンドン市を「深刻な水ストレスがある」と指摘している。これは長期にわたる乾燥時には、需要が供給を上回ることを意味する。

同社によると、気候変動で夏は暑く乾燥するようになり、しかも2021年までに約70万人がロンドンに転居してくると予想される。しかし、再生可能エネルギーで運転するこのプラントによって、天候にかかわらず将来、首都に十分な水を供給することが可能となる。

塩水淡水化の主な処理工法は逆浸透法で、極微細な薄膜に塩水を通す技術である。この試行錯誤の技術は、世界1万4000の水処理場で採用されており、英国海軍でも長年使用されている。一般的な逆浸透式プラントでは、1段式あるいは2段式の逆浸透膜処理法が採用されているが、同プラントは、世界で初めて、4段式逆浸透膜処理法を採用しており、これにより、85%という高い淡水化効率を達成している。また、同プラントは引き潮時のみ、河川水を取水する予定であり(引き潮時の同河川の塩分濃度は、海水の約3分の1)、これにより、エネルギー・パフォーマンスにより優れた造水が可能となる。

一方、反対派は、それでもこの水処理場ははるかに多くのエネルギーを使うものであり、そんな金があったら水道管の漏洩を修理したり、水メータを改善して、消費者あたりの水使用量を減らすべきだ、と要求している。また、同社が現在、「主に渇水時に施設を稼働させるが、その限りではない」と述べていて、「渇水時限定」との前言を翻したことにも、反対派は不信の目を向けている(以下のリンクに反対派の動向のニュース)。
http://www.recycle.co.uk/news/2262000.html#more-2262

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