インド政府、産業界を対象に、水価格の大幅な値上げを計画

インド産業界は、まもなく、水の代償としてさらなる支払いを強いられることになるかもしれない。政府高官が語ったところによると、政府は現在、企業を対象に水価格を数倍値上げすることを目的としたモデル法案を策定するため、州政府と協議を行っている。インド憲法は、水に関する管理権限を州政府に与えているため、中央政府は法律を制定できない。そのため、各州政府は、独自で法律を策定しなければならないのである。

同国では、州によって水の価格が異なる。概して、農業用水の価格は工業用水の価格より安く設定されている。現在、この差をさらに広げることが、提案されているのである。この動きによって、特に飲料業界などの水を大量に消費する産業は、大きな影響を受けることが予想される。

国際連合食糧農業機関(FAO)のP Somasekhar Rao氏は、「(インドの)農業用水と工業用水は、価格があってないようなものだ」と語っている。アジア開発銀行(ADB)が2007年に行った調査では、“インドにおける水の平均的な価格は、低く設定されている”と報告されている。工業や商業、農業、一般市民を含む全ての消費者を対象とした平均価格は、1m3当たり4.9ルピー(約10円)であり、住民を対象とした価格は、この平均値よりさらに低い。

水価格の値上げ幅がどの程度になるかは不明であるものの、表流水や地下水に大きく依存している飲料業界は、すでにこの動きに抵抗するための活動を始めている。同業界は、「企業は紙一重のところで事業を行っており、もし水価格が値上がりすれば、飲料の価格も上げざるを得なくなる」と主張している。一方、他の産業の多くは、事業に占める水のコストの割り合いが低いため、値上げに対して強硬な反対姿勢を示してはいない。

飲料業界は、地下水の過剰採取に対して最小限の対価しか支払わなかったことで、過去に大きな非難を受けている。最近も、Kerala州議会が同州に工場を所有する飲料企業に対して、水の採取量を減らすよう勧告している(EnviX環境法規制モニタリング2010年4月号参照)。