中国、「全国都市の飲用水水源地の環境保護計画(2008~2020年)」を公表

2010年6月中旬、中国の環境保護部は国家発展改革委員会、建設部、水利部及び衛生部と連合し「全国都市の飲用水水源地の環境保護計画(2008~2020年)」(以下、「計画」と略称する)を公表した。「計画」は中国で初めての飲用水水源地の環境保護計画である。実施されれば、各地方政府の飲用水水源地の環境保護・汚染防止業務を効果的に指導し、集中式の飲用水水源地の環境質をさらに改善し環境管理及び水質の安全保障レベルを向上させるものと見られている。

「計画」は水源地の環境保護の原則を明らかにし、集中式飲用水水源地の環境質を改善し緊急時の監視や緊急時の給水能力を引き上げ、2020年までに水質安全を確保するなど総合的な目標を打ち出したものとなっている。目標は水質保全、保護区の設置・管理、一級保護区の環境改善、モニタリング能力を含んだ4種類(5項目)の指標に分けられる。

経済成長、人口増加及び都市化の加速に伴い、都市における集中的な供水需要は年々増加し、約5億人に飲用水が提供されているが、水源地の水質は所在区域の工業廃水、生活汚水などに脅かされている。

「計画」は655の都市及び県政府所在地の鎮における4,002ヵ所の集中式飲用水水源地を対象とし、その水質、環境管理状況を全面的に評価したものとなっている。現状、5分の1の水源地では汚染物の量が関係基準を超過しており、飲用水水源地の環境管理は主要汚染物のみを対象としたものであり、多くの地方政府は有毒有機汚染物のモニタリング・管理作業をまだ行っていない。

水質低下及び水源地の汚染問題に対応し「計画」は下記の8つの施策を打ち出している。

  • 物理的・生物的隔離の方式を利用し、一部の一級保護区に隔離保護を適用し、供水施設に関するプロジェクトの建設しか許可しない。
  • 閉業・整備などの措置を講じ、一級保護区内では、水源地に汚染をもたらす可能性のある活動を一律に禁止する。
  • 汚染物排出口をを閉鎖するかまたは移動させ、二級保護区の汚染改善を強化する
  • 廃棄物リサイクル、ごみの集中的な収集・搬送、養殖及び水上運輸などの管理を規範化させ、区域内の農業、養殖、水上運輸による汚染物の発生量を減らす。
  • 水源地周辺の生態建設・修復などのプロジェクトを建設し、生活汚水によりもたらされる悪影響を減少させる。
  • 監視態勢を確立し、飲用水水源地を対象とした環境モニタリング能力及び監督・管理レベルを引き上げる。
  • 情報管理システムの建設を通して、水質の安全保障業務の情報提供を支援する。
  • 事前警告能力及び突発事件の応急能力をさらに向上させ、水質汚染を防止する。

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