台湾環保署が「放流水標準」を修正公布――ハイテク廃水管理体制を強化

ハイテク施設からの廃水の管理体制を強化するために、台湾の環保署は、2010年12月15日に「放流水標準」を修正公布し、LCDやLED等の光電子材料及び部品の製造業及び科学工業団地区域のガリウム・インジウム・モリブデン・全ての毒性有機物及び生物急性毒性等項目及び限度値を強化し、すなわち、生物的酸素要求量・化学的酸素要求量・浮遊固体及び色度以外に、それらを追加して、混乱を避けるため2012年1月1日まで施行を猶予して、詳細を環保署のインターネットサイト「最新環保法規」に掲載している。
(アドレス:http://ivy5.epa.gov.tw/epalaw/

環保署は、今回の修正の重点は、主にハイテク産業廃水の特性及びリスク予防の観点から、LCDやLEDの製造業を含む光電子産業に特化した管理体制を優先し、その管理体制標準及び限度値を定め、従来の生物的酸素要求量・化学的酸素要求量・浮遊固体及び色度と言う管理体制項目に加えて、別にガリウム・インジウム・モリブデン・全ての毒性有機物・生物急性毒性を加えて、廃水管理を強化した点にあると表明している。その中で、生物急性毒性は廃水総合的指標であり、廃水の水中生物活性に対する影響の程度を表し、もし環保機関の調査で生物急性毒性が1.43を超える時、業者は監測を12週間以内に強化しなければならず、その対応の如何によって罰則適否が判定される(EnviXコメント:中国パートナーは、おそらく政府監督の下で工場自らモニタリングを強化し、12週間以内に収集されたデータを環境保護署が確認して、罰則の適否を判断するのではないか、との見解を示している)。事業者は監測強化期間内に出来る限り速やかに汚染物質の除去を行うことで、環境水系全体の生態保護に積極的な効果をもたらすことが可能である。

環保署は、科学工業団地は元来、石油化学専業区以外の工業団地の管理体制とし、それを国内のハイテック産業集合の拠点として、ガリウム・インジウム・モリブデン・全ての毒性有機物及び生物急性毒性の管理体制限度値を適用すると表明した。しかし、既設の科学工業団地は管理対象メーカーによる急性毒性物質の由来の評価をし、根源的削減には比較的長時間を要することを考慮して、2011年3月31日までに「放流水生物急性毒性削減管理計画」を提出すれば、査定を経て計画内容を執行する場合は、その生物急性毒性を2012年12月31日より適用実施するが、査定を経ないかもしくは規定を執行しない場合は、依然として2012年1月1日より管理体制を実施する。(EnviXコメント:中国パートナーの見解では、これは、積極的に「放流水生物急性毒性削減管理計画」を策定し、生物急性毒性削減を図る行為を奨励することを意図したものだと思われる。つまり、適切な計画を策定実施するのであれば、予定の2012年1月1日施行をさらに延ばし2012年12月31日まで猶予を与えるというもの。)

環保署はまた、法案修正の過程において、関連業者・協会・専門家学者及び環保団体等の代表者が提出した意見をすべて考慮・検討に組入れており、関心が寄せられていた生物急性毒性検測安定化問題については、環保署環境検査所の試験結果に基づくとする品質保全管理規定のもとで、誤差を最小にすることができるとともに、テスト用生物種の供給によって検測安定化がもたらされるので、生物種の安定供給はテスト誤差の発生を防げる、しかも、生物急性毒性検測価格を市場メカニズムのもとで合理的方向へ誘導できることを表明している。

さらに、環保署は、管理体制成果の追跡を継続し、光電子産業及び科学工業団地以外でも、順次その産業放流水標準の検討を説明し、また、各界に製造工程における廃棄溶剤の根源的管理体制を強化し、比較的安全な代替化学品を見出し、廃水に特殊物質が流入するのを防ぎ、環境水系の品質維持に努めるべきと呼びかけている。

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