NZの淡水管理にはより広範な協力体制が必要――非政府フォーラムが報告書

ニュージーランドの非政府フォーラム、Land and Water Forumは2010年9月22日、A Fresh Start for Freshwater(淡水のための新たなスタート)と題する報告書を公表した。Land and Water Forumは産業界、環境とレクレーション関連の非政府組織、先住民のマオリ、淡水と土地の管理にかかわるその他の組織など、58団体の代表で構成される非政府諮問機関である。この報告書は、2009年6月の政府の要請をうけてとりまとめられたもので、淡水の管理にこれまでよりも広範なステークホルダー・グループとの協力体制を築くよう政府に求めている。

報告書の公表にあたってNick Smith環境大臣は、政府はすでにこうした協力を実行に移しているが、それは「将来の水政策の成功は国レベルでの広範な合意にかかっている」からだと述べている。

政府はこの報告書をうけて、水管理政策をどのように変えていったらよいのかを決めることにしているが、これは、淡水の所有権と管理をめぐる先住民マオリとの交渉の進捗状況によっても左右される。マオリは、ニュージーランドのすべての淡水の所有権を主張している。

報告書の概要:

Land and Water Forumの報告書は、上記のように淡水の管理についてより広範な協力体制の構築を求めるとともに、ニュージーランドの現在の淡水管理の欠陥について詳しく分析しており、53項目にわたる改善策を勧告している。以下は、この報告書が指摘ないし勧告しているおもな内容である。

  • 淡水の量と質に関する国の最低基準といったものがなく、そのため、農業排水などの分散型の汚染物排出を規制するのが難しい状況にある。
  • 水の割当が「早い者勝ち」の方式でおこなわれているため、水利用者のあいだで取水許可の譲渡がしにくい。また、小規模自治体では水管理のガバナンスに問題があるところもある。
  • 国は水体の状態について目標を定め、その目標を達成するための時間枠を設定すべきである。
  • 地方の規制当局は、土地および水のステークホルダーらと協力してその地域の水利用等の計画をたてなければならない。