世界のスマート水道メータへの投資、2016年までの累計で42億ドルに

20世紀に、水の需要は人口増加率の2倍のペースで増大した。これは農業用水の需要増によるところが大きい。増加しつづける水需要と、配水システムにおける「無収水」率の大きさに直面して、水道ユーティリティは、経営効率改善の手段としてのスマート水道メータなどの水道インフラ技術にますます熱い視線を注ぐようになってきている。たとえば、先進的なセンサ・ネットワークと自動化システムが完備すれば、配水システム全体を通してより正確な漏洩検知が可能となる。なかでも、水道ユーティリティにとって最も重要な戦略のひとつに、利用者の各戸別のスマート水道メータの設置を挙げることができるだろう。

クリーン技術市場に関する調査・コンサルティング会社のPike Researchの最近の報告によると、世界のスマート水道メータへの投資は、2016年には2010年に比べて110%増えて8億5600万ドル(約693億円)に達し、2010年から2016年までの累計は42億ドル(約3400億円)にのぼると予測されている。Pike Researchはまた、スマート水道メータの世界の設置台数は2010年の800万台から2016年には3180万台へと急増すると見ている。

スマート水道メータを含む水道検針システムの役割について、アナリストのJevan Foxはこう述べている。「水道の検針だけでも、節水の強力な武器になる。水道メータを使い、実際の消費量にもとづく課金をするだけで15%の節水効果があることがさまざまな調査で判明している。それに加えて検針の自動化をおこなえば、節水効果はさらに大きくなる」

Foxはまた、高度メータリング・インフラ(AMI:advanced metering infrastructure)を水道システムに大幅に採り入れるにはまだ多くの難問を解決しなければならないという。まず、水道ユーティリティの市場は世界の多くの地できわめて細分化されている。時間間隔の空いた検針では、自動化によるコスト節減のメリットが限定的なものに留まる。労働問題が、自動検針の受け容れをさらに困難にするかもしれない。無線通信の帯域が限られていることから、世界レベルの技術標準がないことにいたるまで、さまざまな技術上の問題がある。しかし、こうした困難にもかかわらず、AMIには世界中の水道ユーティリティの需要を喚起するだけのメリットがあるだろうとPike Researchは予測している。

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