南オーストラリア州政府はこのほど、州都アデレードとその周辺の上下水道ネットワークの運営保守を委託する官民パートナーシップ契約を、SUEZらの共同事業体Allwater Consortiumとのあいだで締結した。Allwater Consortiumは、SUEZ ENVIRONMENTとその傘下のDegrémontが50％、オーストラリアとニュージーランドを中心に事業を展開している運営保守サービス会社Transfield Servicesが50％を出資している共同事業体である。この上下水道ネットワークは人口110万人をカバーしており、契約総額は8億4000万ユーロ（約980億円）で、そのうちSUEZ ENVIRONMENTの取り分は4億2000万ユーロ（約490億円）となる。
この官民パートナーシップ契約は、オーストラリアではよく見られるアライアンス契約という方式をとっている。すなわち、この契約のもとで、運営保守事業者であるAllwater Consortiumと、発注側であり上下水道ネットワークの所有者でもある南オーストラリア州水道公社SA Waterとは、リスクと利益をシェアすることになる。契約期間は10年で、2011年7月1日からはじまることになっており、この時点でSA WaterとUnited Waterとの現在の契約は終了する。
契約期間中、Allwater Consortiumは6つの水処理プラント、6つの浄水プラント、総延長1万6000キロメートルの水道ネットワーク、リサイクル水システムなどの運営および保守にあたる。契約にはまた、双方合意による6年間延長のオプションも含まれている。
関係者のコメント：
今回の契約について、南オーストラリア州のPaul Calca環境･水大臣はこう述べている。「新たな契約への移行はすぐにはじまるので、スタッフのリクルートが大きな問題になる。おそらく、新たな共同事業体のスタッフの大半は、現在の運営保守事業者の要員からリクルートすることになるだろう」
Calca大臣はさらに、この契約によって水管理にこれまでより柔軟なアプローチが可能になり、州政府は、経済面を視野に入れた規制、新たな水資源の開発、上水道システムのより広域にわたる相互接続などに力を注げるようになるとした上で、次のように述べた。「今回のようなアライアンス契約という方式は、オーストラリア各地の水道事業で広範に使われており、また、それがうまくいっている。わたしは、これが南オーストラリア州でも成功することを確信している」
いっぽう、SUEZ ENVIRONMENTのJean-Louis Chaussade CEOはこう述べている。「SUEZ ENVIRONMENTにとって、オーストラリアで初めてのこの水道サービス運営保守契約は、まさに画期的なものだ。この新たな契約は、メルボルンの淡水化プラントにつづくもので、オーストラリアの水市場におけるわれわれの地位を高めるとともに、同国政府の関係機関との長期的パートナーシップ戦略に沿ったものでもある。南オーストラリア州政府がわれわれに寄せてくださる信頼は、SUEZグループが同州の水問題に適した専門的サービスを提供でき、これら野心的プロジェクトにおいて透明性の確保と効率化という約束を真のパートナーシップ精神をもって果たすことができることを、よくあらわしている」
オーストラリアの水ビジネスおよび廃棄物事業におけるSUEZ ENVIRONMENT：
オーストラリアの水･廃棄物ビジネス分野において、SUEZ ENVIRONMENTは最大手グループのひとつであり、メルボルンの淡水化プラント――南半球におけるこの種のものとしては最大のプラントにして、淡水化プロジェクトとしては最も重要な官民パートナーシップ事業――をはじめとする主要プロジェクトにかかわっている。同グループの総売り上げの6％が、環境問題への熱心な取り組みの結果として急速な市場成長を見せているオーストラリアで得られている。
SUEZ ENVIRONMENTグループは、傘下のDegrémontを通して、オーストラリア全体の需要の20％にあたる飲料水を供給している。同社はオーストラリアにおいては、淡水化プラント（パース、およびメルボルン（建設中））、浄水プラント（プロスペクト）、および廃水処理･リサイクル･プラント（ピンパーマおよびヌーサ）の建設と運転にかかわっている。
廃棄物に関しては、SUEZ ENVIRONMENT傘下のSITA Australiaが廃棄物バリュー･チェーン全体を通じて活動しており、廃棄物の収集･リサイクル･サービスの提供、埋立処分場の建設と運営管理、および廃棄物の処理をおこなっている。SITA Australiaはオーストラリア最大の15の市や町で、4万3000の商工業顧客および300万人の住民の廃棄物を扱っている。
