米連邦地方裁判所判事、パーフルオロオクタン酸に関する集団訴訟でDuPontとの和解を予備的に承認

米国の連邦ニュージャージー地区裁判所の判事は2011年3月22日、DuPontとニュージャージー州のSalem郡にある同社の施設から排出されるパーフルオロオクタン酸(PFOA)で汚染された飲料水にさらされたと主張している住民との間の830万ドル(約6億9000万円)の和解を暫定的に承認した。

PFOAは、1950年代以来焦げ付かない耐熱製品(特にテフロン調理器具)の製造に使われている物質である。

DuPontの広報活動を担当しているDan Turner氏が声明書のなかで述べていることは、次のとおり。

  • 最終的な裁判所の承認がでるまで、和解の資金を訴訟の集団に入っている各家庭に水のろ過装置かそれと同等の現金のどちらかを選ばせて使うつもりである。
  • 裁判所は、6月14日に和解の最終承認のための意見聴取を予定している。
  • DuPontは、訴訟にはメリットがないと考えており、集団の主張を認めていない。
  • われわれが重点を長期にわたって議論を呼びそうな訴訟手続きでなく、施設の操業や地域社会に置くことができる合意に達してうれしい。
  • DuPontは、この和解は責任の承認を意味するものではないことは疑う余地がないと思っているが、裁判所がこれを最終承認すれば、合意の条件を実施することをいとわない。

また、原告側弁護士が提出した答弁の要点は、次のとおり。

  • 約4,800の家庭には、水のろ過装置を取り付けるか現金払いを選ぶ機会がある。これらの家庭には、DuPontの施設から2マイル(約3 km)以内に私設の井戸を持つ家庭とその施設の近傍の地域に供給している水事業者であるPenns Grove Water Supply Co.の住宅用顧客が含まれる。
  • 関係者は、4年以上この訴訟を争っており、300万頁を超える文書をやり取りし、全国で50を超える宣誓証言を取り、多数の質問書、書類提出要求、および自白要求に答えてきた。
  • 20数人を超える専門家の証人が公判準備において確認されている。