米EPA、雨水対策などにグリーン・インフラの利用を自治体や開発業者に要望

アメリカ環境保護庁(EPA)のNancy Stoner上下水道・水環境局長とCynthia Giles執行・遵守保証局長は2011年4月29日、雨水と汚水の越流対策として透水性舗装、草地、都市湿地帯などのグリーン・インフラを利用することを「つよく奨励し、支持する」とする共同文書を公表した。この共同文書はEPAの各支局長、および上下水道・水環境局と執行・遵守保証局の各課長に送付された。

この共同文書のなかでStoner局長とGiles局長は、雨水が汚水路に越流するような豪雨時への対策としてEPAはグリーン・インフラ・アプローチの利用を求めているが、いまだにその対策がじゅうぶんになされているとは言えないとしている。さらに両局長は、つぎのように述べている。「上下水道・水環境局と執行・遵守保証局は、雨水流失や汚水越流への対策を強化するために、国家汚染物質排出削減システム(NPDES)にグリーン・インフラを組み入れたり、水質浄化法違反に対する改善策に取り組んだりする上で関係自治体や水源管理者と協力していくことを約束する」

グリーン・インフラの役割:

EPAによると、グリーン・インフラには、植物や土壌の保水力や吸水力を利用することにより、雨水の流出量を減らし、流量のピークを下げる効果がある。Stoner局長とGiles局長はつぎのように述べている。「グリーン・インフラのさまざまなメリットを考慮し、EPAは雨水流出と汚水越流への対策にグリーン・アプローチを最大限に活用することを奨励する」

EPAは2007年に、環境団体のNatural Resources Defense Councilと、グリーン・インフラの推進に関する協力協定を交わしている。この協定には、草地、雨水貯留タンク、小規模な都市湿地帯などを利用して、舗装道路やビルから流出する汚染雨水を捕捉し、汚水越流の脅威を最小化することが書かれている。

EPAは上記の共同文書公表と同時に、雨水流出と汚水越流への対策としてグリーン・インフラ・アプローチを導入することでEPAと協力することに、10都市――テキサス州オースティン、ボストン、クリーヴランド、デンヴァー、フロリダ州ジャクソンヴィル、ミズーリ州カンザスシティ、ロサンゼルス、ワシントン州ピュアラップ、ニューヨーク州シラキュース、および首都ワシントン――が同意したことを明らかにしている。

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