国連FAOの報告書、水不足や食糧不安が今後高まると予測

2011年6月9日に国連食糧農業機関(FAO)が発表した報告書は、気候変動が世界各地の淡水資源にますます重要な影響をもたらし、ひいては今後数十年間にわたって農業生産や食糧安全保障にも影響が及ぶと指摘している。

同報告書は、すでに水不足(ストレス)にさらされている、地中海沿岸の一部、南北アメリカ大陸、オーストラリア、南部アフリカといった地域で今後水問題は更に深刻となり、その他の人口集中地域においても氷河の融解による洪水に見舞われると予測する。FAOは、水供給に関するモニタリングの強化や早期警戒システム、作物選択、水利用政策に関する調整を各国に呼びかけている。

また、同報告書によると、多くの途上国におけるウォーター・アカウンティング(水会計)の利用は極めて限定的であり、水を配分する仕組みについても存在しない、もしくは場当たり的あるいは未発達なものしかないという。そのため、FAOは、「途上国におけるウォーター・アカウンティングの確立を支援し、強固かつ柔軟な水配分システムを発達させることが最優先課題である」と結論づけている。

なお、上述の報告書“気候変動と水、そして食糧の安全保障(Climate Change, Water and Food Security)”は以下のURLにて閲覧可能である。
http://www.fao.org/docrep/014/i2096e/i2096e.pdf