EU各地で水不足が拡大――各国農相ら、水資源の保全へ向けさらなる取り組みを要請

ルクセンブルクで2011年6月末に開かれる欧州連合(EU)の農業大臣の会合で、欧州の水の安定的確保そして干ばつに備えた対策の強化が要求されることが、その当日に承認される予定の決議案により明らかになった。同文書では、そのような問題により影響を受けている国々が増加していることに対する懸念を提起している。

現在、いくつかの加盟国では深刻な干ばつが発生しており、各国の農業相による臨時の会合が6月中旬にも開催するよう催促している。フランス政府は各国からの後押しを受け、農家が直面している問題について表明し、もしもこのような状況が継続するようであれば、ヨーロッパの食肉産業に深刻な被害をもたらしうると各国の農業相らに対し勧告した。

水資源の保全および持続可能な水資源の総合管理に関する上記の決議案では、水の使用効率の改善のための対策が問題の解決に役立つと指摘されている。しかし、同文書では具体的な措置を推奨しておらず、欧州委員会により現在検討されている建物の省エネ基準についても言及されていない。また、いくつかの加盟国は前回の会合で、特に拘束力を有する水の使用効率基準の提案に対して反発を見せていた。例えば、スウェーデンは、ヨーロッパ各地では地理的環境が異なるため、拘束力のある目標の設定は問題があると指摘していた。

同決議案はまた、共通農業政策(CAP:Common Agricultural Policy)や結束基金(cohesion funding)など、その他の政策分野へ水問題を統合し対処するべきとする欧州委員会の呼びかけに対する加盟国の支援があらためて表明された。洪水リスク、干ばつそして水資源の、より予防措置的な管理体制の導入が加盟国より要請されている。

水資源の保全に関する決議案(英文)
http://register.consilium.europa.eu/pdf/en/11/st11/st11308.en11.pdf

緊急会合に関するプレスリリース(英文)
http://www.consilium.europa.eu/uedocs/cms_data/docs/pressdata/en/agricult/122455.pdf