米カリフォルニア州環境保健有害性評価室が六価クロムの公衆衛生目標を採択

2011年7月27日、カリフォルニア州環境保健有害性評価室(OEHHA)が米国で初めて飲料水中に含まれる六価クロムについて0.02 ppbという公衆衛生目標(PHG)を採択した。同州では、2001年に制定された州法のもとに、2004年1月1日までに六価クロムの汚染基準を採択することになっていたが、その作業が期限を過ぎても7年間、実行されないまま放置されてきており、これから同州の公衆衛生の担当者は、今回設定されたPHGをもとに、この汚染物質に関する法的拘束力のある基準を定めることになる。

飲料水中の全クロムについては、連邦政府の環境保護庁(EPA)も200 ppbという基準を設定しているし、カリフォルニア州もそれをさらに厳しくした50 ppbという値に汚染の上限を設定しているが、六価クロムについては、連邦の飲料水基準はない。「連邦政府も、もうそろそろこの発がん性化学物質に関する飲料水の基準を前進させていい時期だ」環境保護団体・天然資源防衛協議会(NRDC)のGina Solomonはブログにそう書いて今回のOEHHAの決定を称賛している。

そもそも、飲料水中に含まれる六価クロムについて厳しい水質基準の制定を求める声が強くなったのは、カリフォルニア州Hinkleyの六価クロムに汚染された飲料水を調査して制作された『Erin Brockovich』という映画が公開された2000年からである。OEHHAは、2009年8月にもこの化学物質の安全なレベルを勧告する提案書を出しており、2010年12月には、それをさらに厳しくして0.06 ppbというレベルを勧告していた。

今回、そのレベルが一段と引き下げられてPHGが採択されることになったのは、その後に明らかになった調査結果によって、幼い子供など、この物質に対して脆弱性のある人たちを保護するには、さらに厳しい基準が必要であることがわかったからである。「今回の最終的な公衆衛生目標は、何年にもわたってこの化学物質の健康への影響を調査研究してきた結果です。PHGというのは最新の最も確かな科学的研究の結果を反映させるもので、OEHHAがその物質の健康リスクをひととおり十分に調べましたよという合図でもあるのです」OEHHAの室長代理のGeorge Alexeeffはそう語っている。

六価クロムは、金属合金処理、メッキ、皮なめし、織物製造などの工業プロセスで使用されている。自然界にも存在するが、それらの工場から排出されたものによって地下水源が汚染され、2208カ所の飲料水源を調査した2010年の同州公衆衛生局の調査によると、濃度が1 ppb以上にも達しているという。「今回発表された目標値は、それでおしまいというものではない。PHGには法的拘束力がないので、州はまだ法的拘束力のある基準を制定しなければならない。その手続きに、また10年もかかるということにならなければよいのだが」NRDCのSolomonはそう書いている。