台湾・環境保護署、石化産業および半導体産業放流水標準の制定と海洋放流水標準改訂を予告

2011年6月16日、環境保護署は石油化学業・石油化学専業区汚水下水道システム・ウエハ製造および半導体製造業の3業種別に放流水標準を制定し、現有の規制項目に初めてアンモニア窒素を規制項目に加えた。また、石油化学業およびその専業区下水道システムのベンゼン等6項目の揮発性有機物およびDEHP等6項目の可塑剤の限度値を改訂し、さらにウエハ製造および半導体製造業における総ての毒性有機物の規制を強めると予告した。その他にも、石化産業廃(汚)水の海洋へのパイプ排水のための「海洋放流水標準」の改定も併せて実施する。

環保署は、今回の石油化学業および石油化学専業区汚水下水道システム放流水標準の改訂の重点をリスク管理および汚染予防においている。具体的に、水源水質水量保護区外のアンモニア窒素、ベンゼン、エチルベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、塩化ビニルの7種の揮発性有機物、並びにDEHP、DMP、DBP、BBP、DEPおよびDNOPの6種の可塑剤に関する規制を重点的に強化する。

塩素(ベンゼン)を含む揮発性有機物およびDNOPは明らかな発癌性があり、DEHP、DBPおよびBBPには生殖毒性が、DMP、DEPは分解されにくく累積するという特性がある。アンモニア窒素が水系環境中に放出されると、水中の酸素を消耗して、水質の悪化・富栄養化をもたらし水中生物の生態に被害を及ぼす恐れがあるため規制の対象にする必要がある。

石油化学産業にフォーカスし、限度値を定めている元々の放流水標準を含めて、石油化学業を規制するものが24項目、石油化学専業区汚水下水道システムを規制するものは40項目ある。その他、関連産業廃水の海洋放出パイプライン使用による排出を規制するため、海洋放流水標準においても上述7種類の揮発性有機物および6種類の可塑剤を強化した。以上のアンモニア窒素を除いて新に追加された項目は、2012年7月1日より施行する。

環保署によると、石化産業のアンモニア窒素規制は、既(新)設事業者および工程により規制の限度値および猶予期間が異なり、石化専区を新設する工業区および石化業新設事業の限度値を20mg/L、石化業で窒素含有の低い工程の既設事業の限度値を20mg/Lと定め、2012年7月1日より施行する。しかし、石化専区を既に設けている工業区および石化業で窒素含有の高い工程の既設事業については、その事業に係る廃(汚)水処理施設の改善のため比較的長い猶予期間を与え、最長で2016年7月1日まで60mg/Lとする。

ウエハ製造および半導体製造業の放流水標準改訂の重点は、主としてフッ素塩・アンモニア窒素およびすべての毒性有機物に対する規制強化である。その中で半導体産業のフッ素系廃水に対しては、特にフッ素複合イオンを規制の対象とし、汚染予防を考慮して総ての毒性有機物を規制する。当該産業を対象とする元々の放流水標準を含めて、28項目を規制する。以上の規制項目は、既設事業のアンモニア窒素を除いて、公布の日から施行される。既設事業のアンモニア窒素規制は、廃(汚)水処理施設の改善が必要なので、最長2015年7月1日までは符合値を30mg/Lとする。

環保署の説明では、放流水標準は末端制御メカニズムを採用しているので、各界に呼び掛けて各工程の廃溶剤削減を強化すれば、廃水処理施設に流入する化学品が減少し、末端廃水処理の難度も軽減されるという。この他、今回先行して単独で実施した石化業・石化専区および半導体業界以外でも、各産業の放流水標準を順次検討して、環境水系の水質保持を図っていく。

環保署はまた、今回の予告に関連する資料を当局のウェブサイト「法令草案予告欄」に掲載する。当局のサイトのURLは以下の通り。
http://ivy5.epa.gov.tw/epalaw/index.aspx

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