西オーストラリア州、パース周辺地域の安定的な水供給に向け海水淡水化プラントの造水能力拡大へ

西オーストラリア州のColin Barnett州首相は2011年8月1日、南部海水淡水化プラントの増設に早急に着手し、その造水能力を2倍に拡大することを発表した。それにより1億m3の浄水を確保し、パースの周辺地域に水を供給している総合水供給スキーム(IWSS)の緊急な水需要にも対応する。

この決定の背景には、同地域で水道事業を運営しているWater Corporationがもはや雨水のみに依存することができなくなったことがある。2010年のダムへの流入量はわずかに1300万m3であり、それはWater Corporationが必要な供給量を満たすための水量のごくわずかでしかない。現時点までの今年のダムへの水供給量は、予測された量の3分の1に止まっている。「長期的な気象予測によると、西オーストラリアの南西端における降水量は将来的にさらに減少するだろう。IWSSがパース、マンジュラ(Mandurah)、ゴールドフィンガー、そしてカルグーリーに向かう沿線の町に安定的に水道水を供給するためには、今すぐ行動を起こす必要がある」とBarnett州首相は語っている。

また、「総工費9億5500万豪ドル(約780億円)のBinningup近郊にある2年半にわたって行われてきた新規プラント建設の第一工程が最近終了し、IWSSへの水の供給が予定を前倒しにして開始された。同プロジェクトは、予定の予算内で実施されている。さらに、2011年末までに同プロジェクトの全体的な建設の要請が下る予定であり、増設されたプラントからIWSSへの水供給を2012年12月までに開始する。その費用は4億5000万豪ドル(約370億円)と見込まれている。そのうち3億豪ドルはすでに政府が承認した4年36億豪ドルのWater Corporation向けの予算を一部修正して拠出されることになった。プラント増設の決断を直ちに下せば、すでに前回のプラント建設で訓練された熟練作業員を動員することができる。政府として決断を下し、行動をすぐに起こさなければならない。この決定は水不足が最も深刻な年の水道水の確保に向けた大きな前進である」とBarnett州首相は述べた。

Bill Marmion水担当大臣は「プラントが完工してもなお、パースとその周辺地域へ供給するために必要な水の半分は気候に依存した供給源からもたらされる。州政府は将来の水源の確保に向けた対策に継続して投資していく必要がある」と語っている。

なお、南部海水淡水化プラントの設計、建設および運転(25年間)権は、南部海水淡水化連盟(SSWA)が取得している。SSWAはTecnicas Reunidas、Valoriza Auga、AJ LucasそしてWater Corporationにより組織されている。

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