水フットプリントを製品にラベル表示する制度の導入は時期尚早――欧州委員会の委託研究

水フットプリントを製品にラベル表示する制度を導入するのは時期尚早であり、その代わりに最善慣行の奨励を目的とした複数の政策の組み合わせを実施すべきとする報告書をコンサルティング会社RPAが2011年9月にまとめた。これは欧州委員会の環境総局がEU水政策のレビューの一環として委託した研究の結果である。

水フットプリントのラベル表示制度は、関係する現行諸指標の明確性・透明性・信頼性が欠如しているため、現段階での導入は不可能であろうとRPAはしている。さらにそうしたラベルを適切に活用するための十分な知識が消費者の大半にないという。報告書は、水フットプリントは現段階では企業供給網の管理ツール程度にしか見られていないにもかかわらず、その使用に際しては一貫性・透明性の欠如などの問題があり、これらが解決されるまで汎用には慎重であるべきと結論付けている。一方、世界では商品供給チェーン全般に適用するための認証基準を包括的な方式で策定しようとする動きが多数見られ、既に水管理同盟(Alliance for Water Stewardship)は国際的に使用し得る性能基準を策定済みであるとし、欧州委員会は水管理基準の策定に重点を置き、そうした動きを支援すべきとしている。また同時に、水フットプリント認証に関する世界的な動きに参加し続けるべきともしている。

RPAは今回、独自の研究と利害関係者との協議を経て14の政策オプションを打ち出し、それらを相乗効果が期待できる5通りに組み合わせてA~Eのグループを作り、各々について効果・影響評価を行った。そして下記の6つの政策オプションから成るグループAが好ましいとの結論を下している。グループAは、認証やラベル表示制度に比較的重点を置かないため、環境保護と企業への影響という観点から良い妥協策になるとRPAはしている。また実行するのも比較的容易であるという。

  • 企業の水管理の改善促進
  • 水使用の最善の慣行を基準に従って評価する(ベンチマーキング)
  • 持続可能な開発の分野における国際的な連携と支援
  • 認証制度に関する情報の普及
  • 国による消費者教育活動の促進
  • 節水技術に関するEC“スマートマーク”の制定