ドイツで改正飲料水令が11月施行――レジオネラ菌検査を商用建物にも義務付け

ドイツで、「飲料水令を改正する2011年5月3日の第1次政令(改正飲料水令)」が同年11月1日付けで施行され、飲料水に関する品質基準が強化された(以下のリンクに改正令の現物)。とりわけ、建物の上水道設備に関する法的規定を新たに定めた。
http://www.umweltbundesamt.de/wasser/themen/downloads/trinkwasser/BGBl_IS_748.pdf

具体的な改正内容は、次のとおりである。

(1)    上水道設備によって、飲料水の品質が低下するのは許されない。そのため11月1日以降、賃貸住宅のような商用建物の場合も、飲料水供給設備を対象に、レジオネラ菌検査を義務づける。今まで、レジオネラ菌の検査は、飲料水を一般向けに供給している公共建物にしか義務付けていなかった。

(2)    レジオネラ菌に関して、今回初めて、いわゆる「技術的対策の発動値」を定める。そのしきい値を、飲料水100ミリリットルあたり100“コロニー形成単位”とする。この値に達したとき、もしくはこれを超えたとき、水質汚染の原因を調べ、除去するよう、保健当局は施設運転者に義務づけることができる。レジオネラ菌は人から人へ伝染しないが、エアロゾルの吸引によって体内に入る。感染すると、致命的な肺炎やインフルエンザに似たポンティアック熱を発症するおそれがある。たとえば設備の不良によって、必要な水温(25度未満、55度超)を保てないような温水状態で、菌が増殖する。

(3)    新規の飲料水供給設備の設置と運転に関する技術規則にも、法的拘束力を持たせる。これによって、飲料水に溶け出すおそれのある不適切な材料を、上水設備に使うのを避けるようにする。設備運営者は、承認された技術規則を遵守する義務を負う。すなわち運営者は、万が一にも最小限の物質しか溶出せず、検査を受け合格した配管や水栓しか、今後使うことができない。配管や水栓の品質を証明するため、検査合格証を発行する。

(4)    検査の済んでいない装備品を新たに設置する者は、公序良俗違反に問われる。これまで水道設備に使う材料を不適切に選定した結果、化学物質が溶出してしまい、飲料水を汚染する事例があった。たとえば、レジオネラ菌のようなバクテリアの繁殖を促し、飲料水の品質を悪化させることがあった。

(5)    雨水や暖房設備からの排水など、飲料水の品質に達しない水による汚濁からも、飲料水を保護する。運営者は、低品質の水が逆流して飲料水に入りこむことがないようにする、いわゆる「安全設備」を設置しなければならない。

(6)    EU加盟国で初めて、飲料水中のウラン限界値を定める。その上限値を、飲料水1リットルあたり10マイクログラムとする。高濃度のウランを産出する、一部の限られた地域が対象となる。

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