中国江蘇省で、水質汚染物質許可証管理弁法が施行される

中国江蘇省政府は2011年10月1日から「江蘇省水質汚染物質排出許可証管理弁法」を施行している。この弁法に関して、起草に携わった江蘇省環境測定センター高級技師の金浩波は以下のように説明している。

「江蘇省水質汚染物質排出許可証管理弁法」は、水質管理に関して、汚染物質許可証を用いて水質汚染物質排出総量を削減し、環境質を改善することを目指すものである。

汚染物質排出許可証制度について1989年に公布された「水質汚染防止法実施細則」では、第9条において企業・事業主による水域への汚染物質排出に対し汚染物質排出許可証管理を実施すると規定しており、その後2008年に改正された「水質汚染防止法」においても、国が汚染物質排出許可制度を実行するとし、企業・事業主による汚染排出許可証なしの排水、あるいは汚染排出許可証の規定に反する排水が禁止された。

しかしこれらの法規においては、汚染物質排出許可証を発行する範囲、発行の手続き、管理体系などが統一されていないという問題があった。また、処罰に関しても未整備な面があり、排出許可証の効果が発揮されてこなかった。

そうした中、「江蘇省水質汚染物質排出許可証管理弁法」では、許可証の申請・受領、許可証取得者が守るべき規定と引き受けるべき法的責任について明確な規定がなされた。また、この弁法では、汚染物質排出総量の測定報告制度などに関して一層の整備を図り、汚染物質排出者の管理についても規定するものとなっている。

法的責任について弁法は、汚染物質排出事業所が許可証または臨時許可証の規定を守らずに汚染物質を排出した場合、環境保護行政所轄官庁が期限付きで是正を命令し、同時に1万元(約12万円)以上、5万元(約60万円)以下の罰金を課するとしている。程度が重い場合や期限を過ぎてなお改善しない場合は、法により汚染物質排出許可証または汚染物質排出臨時許可証を抹消する。事業所が汚染物質排出許可証なしに、または許可証の規定を守らずに汚染物質を水域に排出し、なおかつ是正を拒んだ場合は、環境保護行政所轄官庁がその汚染排出口を封鎖する。

金浩波江・蘇省環境測定センター高級技師によれば、許可証管理制度は、環境影響評価制度、「3つの同時」(建設プロジェクトの実施と同時に環境汚染防止施設を計画・建設・操業すること)の検収、排出削減総量規制、排出権取引、汚染排出費徴収、期限付きの対策命令などの環境管理と有機的に結びつけ、企業など汚染物質排出する主体の行為を規範化することができるものだという。

同弁法第4条では、主要水質汚染物質の排出指標の有償使用および取引制度に関する規定を盛り込み、有償取得した指標の回収、買戻しなどについても特別の規定がなされている。また、汚染物質排出許可、排出削減指標の有償使用並びに取引制度に関しても言及されている。

タグ「」の記事:

2020年7月10日
台湾環境保護署、「水汚染防止法事業分類および定義」の改正を公告――オイル貯蔵場や貯蔵施設の分類・定義を改める
2020年7月9日
米EPA、飲料水中の過塩素酸塩を規制しない方針を最終決定
2020年7月8日
ベトナム、水資源開発や排水の許可承認に関する手数料を暫定的に減額する通達を制定
2020年7月7日
ベトナム、水資源分野の違反に対する罰則を定める政令を制定
2020年7月6日
中国標準化研究院、「汚水処理装置一式」など3本の国家標準の意見募集稿を公表し意見募集