PEX管による健康リスクはないとの研究結果――ノルウェー公衆衛生研究所

ノルウェー公衆衛生研究所が2011年11月8日、架橋ポリエチレン(PEX)管から飲料水へ浸出した物質により生じる健康リスクに関する調査結果を公表した。ノルウェーでは現在、古いパイプの内側に新しいパイプを設けるパイプインパイプ(PIP)工法が日常的に活用されている。内側には架橋ポリエチレンと呼ばれるプラスチック製のパイプが使用されており、それが健康に与える影響や、飲料水にあたえる好ましくない味や臭いが懸念されていた。

研究概要

ノルウェーに普及している10の異なる型のPEX管からの浸出性についての分析を標準試験機関にて実施した。その際、72時間PEX管内に保たれた水が試験水として使用された。PEX管には、PEX-a、PEX-b、PEX-cという3つの異なる製造様式があるが、わずかに異なる添加物がそれぞれの様式で使用されている。しかし、製造様式と溶出した物質についての相関関係がないことが明らかになった。

最もよく検出された物質は、2,4-ジ-tert-ブチルフェノール、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)の2物質であった。新しいパイプのうち3つの型では、米国の環境保護庁が推奨する飲料水の味や臭いに関する制限値より高い値が検出された。しかし、ある一定期間の使用を経た後に、この値が制限値を下回ることが分かった。

研究結果

  • PEX管に由来する飲料水への健康リスクはない。
  • 飲料水が長い間パイプに晒されると、好ましくない味や臭いが移る可能性がある。
  • 味や臭いは使用と共に消散するが、2つの型のPEX管では1年間の使用後も味や臭いが検出された。
  • PEX管から浸出する揮発性有機化合物のレベルは基本的に低い値を示した。
  • 揮発性有機化合物のレベルは使用と共に減少した。
  • PEX管の製造方式と浸出物質の相関性は見られなかった。