ユニセフと世界保健機関、飲料水に関するミレニアム開発目標の達成は近いことを示す報告書を発表

ユニセフと世界保健機関(WHO)は2012年12月20日、より多くの人々が安全な飲料水を利用できるようにするというミレニアム開発目標(MDG)を2015年の目標期日よりかなり早く達成できそうであることを示す報告書を発表した。

ユニセフのSanjay Wijesekera副理事兼上水下水担当長は、「朗報は、今や1990年代の着手時よりほぼ18億人もの多くの人々が飲料水を利用できるようになったことである。厄介な問題は、最貧で社会的にほったらかしにされた人々が、置き去りにされていることだ」と述べた。

「ユニセフ/WHO共同上水・下水モニタリング・プログラム(UNICEF/WHO Joint Monitoring Programme for Water Supply and Sanitation)」による報告書Drinking Water Equity, Safety and Sustainability(飲料水の公平性、安全性、持続可能性)の要点は、次のとおり。

  • 1990年と2008年の間に、改良された飲料水源を利用できるようになった世界の人口の割合は、77 %から87 %に増えた。ということは、安全な飲料水を続けて利用できない人々の割合を半分にするというMDGの目標をまもなく満たすことになる。
  • 順調な進捗状況ではあるが、現在の進捗速度では、2015年になってもまだ6億7200万人の人々が改良された飲料水源を使えていないことになる。
  • サハラ以南のアフリカ、南アジア、東アジア、東南アジアに、進展しているにもかかわらず目標を満たす軌道に乗っていない多くの国がある。
  • たとえば、サハラ以南のアフリカでは、安全な水を利用できる人々の割合は、1990年以降49 %から60 %に急上昇して、さらに都市地域で1億2600万人、そして農村地域で1億1100万人の人々が利用できるようになって、その全数は相当増えている。しかしながら、利用できない人々の実数は、2008年の方が1990年より多い。すなわち、人口増加が水利用の進展を上回っている。また、農村地域の貧しい人々は、安全な飲料水をもっとも利用できていないし、水汲み・運搬という最大の重荷は、女性たちと少女たちの肩にかかっている。
  • 世界的には、改良された飲料水源を利用できない10人の人のうち8人を超える人々は、農村地域に住んでいる。しかしながら、パイプで送られる飲料水を家屋で利用している途上国の農村人口の割合は、1990年の21 %よりは高くなったが、2008年でもまだ31 %しかなかった。都市地域では、同じ期間に71 %から73 %に増えた。このことで上水と下水への投資が最適化されていないことが分かる。すなわち、飲料水と下水のための全政府開発援助(ODA)のほぼ3分の2は、大規模な都市システムに回されている。
  • 水が利用できるようになっていても、飲むには安全でないことが多い。水質調査で、たとえば、パイプ送水、掘削孔、保護井戸などの改良された飲料水源の多くは、WHOの指針に適合していないことが示されている。平均すると、すべての保護された掘削井戸の半分、そして保護された泉や掘削孔の3分の1、は、汚染されている恐れがある。
  • 気候変動もまた水道インフラを脅威にさらす。干ばつや洪水の発生頻度が高くなると、このインフラが機能しなくなる恐れがあり、それは飲料水供給の進展を遅らせ、ほかのMDG目標に影響を及ぼすことになる。したがって、投資は、極端な気象条件を考えてシステムやサービスを回復力のあるものにすることを目的とすべきである。