給水管よりBPAが溶出しているリスクが発覚――NGOがEUレベルでの規制を要請

スウェーデンのNGO ChemSecが2011年12月14日、給水管から溶出する恐れのあるビスフェノールA(BPA)による被害を防ぐため、EUレベルの規制の整備が必要であると発表した。

BPAが溶出する危険性が発覚したのは、古くなった給水管を交換する代わりに給水管の内側を再びコーティングする更生ライニング(リライニング)と呼ばれる手法によって修復された給水管である。コーティングにはBPAやビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)を含むエポキシ樹脂が使用されることが多い。更生ライニングは給水管の交換よりも安く、人手がかからないことから近年多用されてきている。

エポキシ樹脂を用いて更生ライニングが行われた給水管の水質調査はほとんど行われていないが、樹脂が適切に硬化されていなかったり、給水管を流れる水が高温だった場合、推測されていたよりも多量のBPAやBADGEが溶出する可能性が示唆されている。Chemsecは、飲料水と接する場所へのBPAの使用禁止や、給水管に使用されている物質に対する体系的なスクリーニングの実施を要求している。また、更生ライニングを行う企業は使用した物質や代替物の開発についての情報を公開すべきであるとしている。

現在、エポキシ樹脂はポリマーであるため、REACH規則の対象外であり、更生ライニングに関わる製品や手法に承認を与えるようなEUレベルの規制は存在しない。しかし、エポキシ樹脂を構成する調剤はREACHの対象となっている。更生ライニングを規制する方策としては以下の3通りが想定される。水との関連で水枠組み指令による規制、製品やパイプに使用される物質からの観点では建築製品指令による規制、また、食品に接する物質という観点から管理することも考えられる。

タグ「」の記事:

2020年7月9日
米カリフォルニア州政府、飲料水中のマイクロプラスチックの定義を発表
2020年7月9日
米EPA、飲料水中の過塩素酸塩を規制しない方針を最終決定
2020年5月9日
米カリフォルニア州政府、飲料水中の六価クロムの新汚染基準策定に向けたワークショップを開催
2020年3月24日
米EPA、飲料水中のPFOAとPFOSの規制を予備決定
2020年2月23日
米州水規制規制機関協会ADERASA、上下水法規に関する第12回イベロアメリカ・フォーラム開催