香港、冷却塔のレジオネラ細菌に対する検査結果の公表を開始

香港機電工程署(EMSD:Electrical and Mechanical Services Department)は2011年12月から、冷却塔および冷却塔の設置場所に対するレジオネラ属菌のサンプリングの結果の公表を開始した。検査の結果により、公衆衛生および市政条例(香港法例第132章)に基づく通知が発行される。

EMSDは冷却塔の管理に関し、以下のように記している。

  • レジオネラ属菌は、湖や土壌などの自然環境や、人口の水利用設備(冷却塔など)でみられ、25度から40度の温水で活発に増殖する。適切に設計/制御/メンテナンスされている冷却塔であれば、レジオネラ属菌の拡散は防ぐことが出来る。
  • 冷却塔の適切な維持・制御はオーナーの基本的な義務である。オーナーは義務を履行するため、<水冷方式空調システムに関する実施規則(Code of Practice for Water-cooled Air-conditioning Systems)>に従い、冷却塔に対し定常的な検査、適時のメンテナンス、水質の定期検査を行わなければならない。
  • レジオネラ属菌数(LBC:Legionella Bacterial Count)の検査は、冷却塔におけるレジオネラ属菌拡散防止を目的とした水処理の効果をチェックするためのものである。冷却塔のシステムと水質を正常な操業条件に保つために、メンテナンスの効果を測る検査の結果からフィードバックを得ることや必要な対策を講じることは、オーナーが冷却塔を維持・制御する上での通常業務といえる。
  • そのサンプルに、1000CFU/ml以上のレジオネラ属菌数が見つかった冷却塔は緊急の除染を行わなくてはならない。
  • 独立して、冷却塔の中でレジオネラ属菌が水中に存在し、高濃度の状態が散発的に生じている場合、10CFU/mlから1000CFU/mlのレジオネラ属菌数を検出するのは珍しい。こうしたケースにおいては、日常的に行うメンテナンス、水処理プログラム、作業において、断続的に用心を怠っていることを反映している。他の通常の操作およびメンテナンス業務と同様、検査結果は、システムに対する操作およびメンテナンスの再点検・調整のための補正フィードバックを冷却塔のオーナーに提供するものであり、その結果、細菌量を最小化し水質を正常な状態に回復することが可能となる。

EMSDは、オーナーが冷却塔水の水質を十分な水準に保つために適切に維持・制御するという義務を果たしているか監視する目的で、冷却塔に対し不定期の調査を実施し、サンプル収集を行っている。水質サンプリングの結果に応じて、EMSDは以下の規制措置を講じている。

  • サンプルから1000CFU/ml以上のバクテリア属菌数が検出された場合、EMSDは公衆衛生および市政条例(香港法例第132章)に基づく通知を発行し、冷却塔のオーナーに対し<水方式空調システムに関する実施規則>に従い緊急の除染を行うよう求める。通知に明記された要求事項を遵守しない場合は、違反の罪に問われる。
  • サンプルから10CFU/ml以上1000CFU/ml未満のバクテリア属菌数が検出された場合にはEMSDは勧告書を発行し、冷却塔のオーナーに対し<水方式空調システムに関する実施規則>に従いオンライン消毒を行い、細菌量を減らし水質を正常な状態に回復するよう措置を講じるよう求める。