石油・ガス産業および鉱業向け水技術へのベンチャー・キャピタルの投資が増大

London Environmental Investment Forum(LEIF)はこのほど、石油・ガス産業および鉱業向けの革新的な水ソリューションを提供している企業への、ベンチャー・キャピタルによる投資が増大しているとする報告書を公表した。Water Innovation in Extractive Industries(採取産業における水の改革)と題するこの報告書は、そうした事業を営んでいる企業のうち、初期段階または成長段階にある25社を選び、公開情報から読み取れるそれら企業の資金調達状況をまとめている。それによると、25社中18社が過去5年間にわたって順調に資金を調達し、そのうち数社は複数の投資ラウンドを終えている。また、3社は現在、出資者を求めているところである。

報告書が示しているこのほかのおもな結論は、以下のとおりである。

  • この分野への投資は過去5年間で増加――18社がエクィティと借り入れで4億ドル(約320億円)以上を調達
  • 投資活動の過半数は北米でのもの
  • 一握りのベンチャー・キャピタル・ファンドがこの分野に的を絞り、先鞭をつけている――Energy Ventures、XPV Capital、Meidelinger Partners、Enertech Capital
  • 大手企業のコーポレート・ベンチャー・ファンド部門や企業開発部門のいくつかが、この分野に戦略的に臨む構えを見せている――Teck Resources、Cenovus Energy、BASF Venture Capital、Total Energy Ventures
  • 現在は自治体および一般産業向けのサービスを提供している水ビジネス企業が、その技術とサービスを資源産業に振り向けようとしている

これについて、LEIFのTom Whitehouse会長はこう述べている。「投資家によっては、採取産業のきわめて大きな変化に目を向けはじめているものもいる。水の技術革新を単にCSR報告書の豪華な飾りと考えているとしたら大間違いで、これは競争に勝ち抜くための手段なのだ」

Whitehouse会長はまた、これが投資ブームにつながるかどうかを判断するのは時期尚早だが、水技術が今後もますます注目されていくことを示す証拠はいくらでもあると言う。同会長はさらに、この分野での技術革新と投資のほとんどはいまのところアメリカとカナダでのものだが、イギリスなどのヨーロッパの企業も台頭してきており、市場はグローバルになっているとし、次のように述べている。

「われわれは、水の技術とサービスを提供する企業で新たな資金を求めるところが、すくなくとも短中期的には増えつづけると見ている。しかし、業界の整理統合は避けることができない。水のサービスを提供する大手企業が技術のポートフォリオを充実させ、ワンストップ・ショップをめざしているからだ。そこで、投資家にとっては、戦略的な買い手にいかにタイミングよくじょうずに売るかが問題になる」

Whitehouse会長は、多くのベンチャー・キャピタルが以前は水への投資、すくなくとも自治体の水道事業関連の投資には慎重だったと述べ、さらにこうつづけている。「自治体向け水道事業業界に特有の保守性と、ほとんどの水プロジェクトの資本集約性が、多くの企業のやる気を失わせ、大手の投資家の関心をそぐ結果になっていた。だが、石油・ガス産業と鉱業における水技術の需要に投資家が目を向けるようになったいま、事態は変わりつつある。これらの採取産業では、水は利益に直接つながる問題であり、水の規制も、企業の足を引っ張るよりもむしろ技術革新をうながす方向にはたらいている」