欧州委員会が水問題に対処するための欧州イノベーションパートナーシップに関する方針を発表

欧州委員会は2012年5月14日、水に関する課題に対処するための欧州イノベーションパートナーシップ(EIP:European Innovation Partnership)を立ち上げる方針書(コミュニケーション)を発表した。EIPは、EUの新成長戦略「欧州2020」の柱として立ち上げられた技術革新連合(Innovation Union)で打ち出された構想であり、産官学が連携して知見を蓄積し、技術革新を促進することを目的としたものである。

水に関するEIPは、水枠組み指令(2000/60/EC)や資源効率ロードマップで定められた政策目標の達成を支援するものでなければならないとし、今後、それらの目的に沿った戦略的実行計画が2012年秋にはタスクフォースによって作成される予定である。また、2012年11月に発表される予定の水の安全保障のためのEU基本環境政策(Blueprint)とも相互に連携を図っていく。

欧州委員会は、EIPの実施によって以下のようなアウトプットを想定している。

  • イノベーションの障壁となる問題の特定。また、それに基づいた具体的な活動、行動、試作品の開発、そして実証を行うイノベーションサイトの立ち上げ。それは、共同プロジェクトを行う物理的な実証現場からネットワークの確立まで幅広いものである。
  • 革新的な水関連ソルーションの普及や、その商用化。
  • イノベーションの普及を妨げる様々な要因(規制、資金、標準化、技術的、社会的)の排除。
  • 地理的条件に左右されず、問題を抱えている者と、それを解決する手段を持つ者が交流できるような場の構築。

現在、同方針書の審議が閣僚理事会および欧州議会にて行われている。同案が支持されれば、ハイレベル運営グループが招集され、キックオフミーティングが2012年夏前に開かれる。その後、タスクフォースによる戦略的実行計画の策定を経て、2012年12月に同計画のハイレベル運営グループによる承認、2013年初めの実行開始をめざす。

欧州委員会による水に関するEIPについての方針書は以下のURLより閲覧可能。
http://ec.europa.eu/environment/water/innovationpartnership/pdf/com_2012_216.pdf