中国情報筋、海水淡水化産業推進の動きに対し関連設備の生産能力過剰の問題を指摘

中国では2021年2月上旬に「海水淡水化産業発展推進に関する意見」が公表され、2015年までに造水能力拡大を図るといった方針が示されたが、こうした海水淡水化産業推進の動きに対し中国国内の情報筋は2012年3月6日、関連設備の生産能力過剰の問題を指摘した。以下、その見解を抜粋する。

情報筋によれば、現在天津では海水淡水化関連設備の8割が休眠状態に陥っている。これは生産能力過剰が原因と考えられ、業界全体に警告を発するものと捉えるべきである。

生産能力過剰に陥れば、海水淡水化産業に大きな問題が生じる。例えば海水淡水化により生じる高濃度塩水を処理する、製塩関連の企業の生産能力が過剰となる恐れがある。また、企業が違法に高濃度塩水を排出すれば、沿海地域の生態環境に悪影響を与えることになる。

十二五期間中(2011年~2015年)、海水淡水化事業は初期段階に留まる可能性がある。

海水淡水化事業は、配管の設置を進めると同時にサプライチェーンの下流産業の発展も促さなくてはならないなど、多方面にわたる問題を解決する必要がある。海水淡水化産業の発展においては、水資源総合利用プロジェクトも合わせて統一的に計画する必要があり、それと同時に適切で専門的な配管設置関連計画作りも不可欠である。

関連部門はプロジェクトの参入審査を強化し、参入許可標準を設ける必要がある。また、海水淡水化により生じる高濃度塩水の処理を環境保全に係る重要審査項目とすべきである。現在、中国政府は海水淡水化産業発展を促進するため、中央政府予算における投資の増額、関連法規や政策の策定、海水淡水化プロジェクトに係る審査制度の厳格化など、一連の措置の策定段階にあり、今後は関連する実施細則が策定、公布されることが期待される。

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