Siemensの水関連事業の再編――水処理部門を売却し、水関連の自動化技術および駆動技術の重点化を発表

2012年11月8日、Siemensが水事業を再編し、今後は自治体や工業向けに水関連機器の自動化および駆動分野の事業に集中していくと発表した。同社の水部門であるSiemens Water Technologiesは、公共および工業向けの水の浄化や廃水処理サービスを提供していたが、関連部門とともに売却されることになった(下図参照)。Siemens Water Technologiesは利益の大部分を北米市場で上げており、近年包括的な再編を行ってきた。Siemensの取締役兼産業部門(Industry)のトップであるSiegfried Russwurm氏によると、水処理技術は主に化学的な専門技術によって支えられていたため、同社の水部門は他の産業部門との相乗効果が小さかったという。今後は水事業に投資する代わりに、経営資源を同社のコア部門に注いでいくとのことである。このようなSiemensのコア事業の強化は、社内プログラムである“Siemens 2014”における5つのメインアクションの1つである。

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Siemensの組織構造の概要(Siemens HPより作成)

Siemens Industry AutomationのトップであるAnton S. Huber氏は、今後は、コア事業である電気工学技術を基盤として水分野に専念していく予定であり、浄水場や下水場だけでなく海水淡水化プラントに使用される自動化技術および駆動技術を対象にしていくと述べている。その他の水処理事業については、投資を快諾し相乗効果を強めることのできる、持続可能な成長性を有する適切な売却先を現在探しているという。

Siemens Industry Automationは、水処理の制御、管理および運営サービスについては、従来通り続けていく予定である。基本的にこれらは同社の開発した制御システムであるSimatic PCS7や、流れ計、圧力計および水位計などの機器をもとにしたサービスである。また、Siemens Drive Technologies部門が展開するパイプライン、ポンプ、攪拌機などの駆動技術についても同様である。これらのサービスは、自治体向けの浄水処理場や下水処理場、および自動車、鉱業、化学品、電子製品、石油・ガス、食品、製薬といった様々な産業分野で使用されている。

Siemens Water Technologies:

Siemens Water Technologiesは、浄水および廃水処理において多岐にわたる生物的、化学的かつ機械的技術を用いた製品やサービスを提供している。最近18か月間での水事業は経済的に健全な基盤のもとで展開されており、公共分野や様々な産業分野の顧客の要望に応えられるよう戦略展開を行ってきた。その水事業の大部分は、アメリカおよびカナダの公共分野との取引が占めており、産業分野への浄水処理および廃水処理についてはその割合は小さかった。また、シンガポールでは独自の研究センターを所有し、海水淡水化の電気化学的な手法について、最新かつエネルギー効率の高い技術を研究していた。全世界4500人の従業員のうち、3000人が北米に勤務していた。

最近のSiemens Water Technologiesの主な動向は次の通りである。

2012年1月 最先端の廃水処理技術を有するCambridge Water Technologyを買収(EWBJ No.41参照
4月 石油・ガス産業向けの総合水処理ソリューションを提供しているWater Solutions Oil & Gas事業を、Energy部門に移動(EWBJ No.42参照
7月 化学品フィードシステムや流量計製品などを、上水道・下水道などの管路インフラ建設を展開する新興企業であるUGSIに売却(EWBJ No.43参照

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