国連のイニシアチブ、企業の水使用の報告のための指針案を発表

国連の持続可能なビジネスに関するイニシアチブである「国連グローバルコンパクト(U.N. Global Compact)」の「CEO Water Mandate(最高経営責任者水関係指令)」イニシアチブは2012年8月27日、企業の水使用の報告に役立つ「企業水関係情報公開(corporate water disclosure)」の指針案を発表した。

この指針案の要点は、次のとおり。

  • 企業の水利用のパフォーマンスを比較しやすくするために、情報公開への共通の取り組み方を提供することを目指すものである。
  • 水ストレスのある(水量や水質の点で水需給がひっ迫している)地域における取水量の割合、水ストレス地域における平均取水度(製品単位あるいは売上や収益など会計上の一定の単位当たりの取水量)、水関係の重要な遵守違反の件数などのデータを報告するよう企業に勧めている。
  • 企業の営業活動あるいは製品のための水の使用や廃水の排出によって環境への悪影響が起こっているかどうかといった水ストレスに関係するリスク、そして水関係のパフォーマンスを向上させ、水関係のリスクや悪影響を減らすための計画を報告するように企業に勧めている。

上記イニシアチブは、この指針案をさまざまな産業に適用するよう策定している。そして、2013年に最終案を発表し、3~5年以内に更新する予定である。

ところで、国連グローバルコンパクトは、コフィー・アナン前事務総長が1999年1月に提唱し、2000年7月に発足した、持続可能なビジネス手法に熱心な企業のための方針イニシアチブである。

また、CEO Water Mandateは、2007年7月に潘 基文(パン・ギムン)事務総長が発足させ、現在ほぼ100社の大企業が支持しているイニシアチブである。これは、たとえば、企業が直接実施する事業、サプライチェーン、流域管理などの分野における方針や対策を策定し、実行し、公開することによって企業の水に関する持続可能性を促進するものである。そのような方針や対策には、水に関する効率や廃水管理の目標を設定したり、供給業者と協力して水に関する利用方法の質を向上させたりすることが含まれる。

CEO Water Mandateはまた2012年8月29日、「Global Water Action Hub(国際的な水関係の行動のためのハブ(拠点))」を設置した。これは、企業、環境保護団体、政府が水に関するスチュワードシップ(管理)のプロジェクトに関して協力するための場所を提供するオンラインツールである。

これにあるマッピング機能を使って、企業などは、特定の河川流域における水関係のイニシアチブを取る組織を見ることができる。その結果、組織は協力して水管理を向上させることが可能となる。