欧州における水域の半数以上が良好な状態に達していない――欧州環境庁による報告書

2012年11月13日、欧州の水域の半数以上が良好な状態に達していないとする報告書が欧州環境庁(EEA)によって発表された。報告書「欧州の水域――状態および負荷評価(European waters – assessment of status and pressures)」によると、欧州における水域の状態は、全体的に改善する傾向にあるものの、2015年までに良好な状態を達成するのは52%のみであり、現状のままではEU水枠組み指令(2000/60/EC)の目標達成は困難であると結論づけられた。

同報告書では、EU加盟国が水枠組み指令および流域管理計画で報告した10万4000の河川、1万9000の湖、そして4000の沿岸水域について考察された。表層水の場合、生態学的および化学的状態の2項目、地下水の場合は、化学的および量的状態の2項目があり、全体的に良好な状態であるためには、それぞれの指標が良好(good)であると評価されなければならない。水枠組み指令において水質は5つのレベル(high、good、moderate、poor、bad)に分類分けされる。

報告書によると、ダム建設、浚渫工事、河川の直線化によって、40%の河川および30%の湖が河川環境の改変などの生態学的な影響を受けている。また、地表水の10%、地下水の約25%が高濃度の重金属やその他の有害物質によって好ましくない(poor)状態にある。さらに、欧州の河川および沿岸水域の40%以上、および湖の3分の1が耕作地から流出した農薬によって深刻な汚染にさらされている。

また、中央および北西ヨーロッパにおいて生態学的な状態、負荷が最も悪い状況にあるという。沿岸部や河口に関しては、バルト海や北海の状態が最も悪いことが示された。

EEAによる報告書は下記URLよりダウンロードできる。
http://www.eea.europa.eu/publications/european-waters-assessment-2012