Veolia、ピッツバーグの上下水道運営の好業績で特別報酬を獲得

ペンシルヴェニア州のピッツバーグ上下水道局(PWSA)は2012年からVeolia Water North America(本社:イリノイ州シカゴ)に上下水道の運営を委託している。同社による運営は早くもいくつかの成果を収め、PWSAに130万ドル(約1億3000万円)の収入増をもたらした。Veolia Waterが2013年4月5日に明らかにしたところによると、同社はこの業績により、契約にもとづく特別報酬を獲得した。
これについて、Veolia WaterのRob Nicholas開発部長は記者会見でこう述べている。「組織を新しい方向に向けようとするとき、早期に成果を収めることはきわめて重要だ。それによって勢いがつくからだ。われわれはこれを実に最初の9ヵ月間で成し遂げたわけだ」

PWSAのスキャンダルで失墜した信用を回復

2012年7月、PWSAはVeolia Waterと、月額15万572ドル(約1495万1600円)、年額にして180万ドル(約1億8000万円)の運営契約を交わした。そのおよそ2年前、PWSAのMichael Kenney前局長が水道保険プログラムにまつわるスキャンダルのさなかに辞任し、それ以来、局長の座はいまもって空席である。ちなみに、この水道保険プログラムは水道の利用者に保険への加入と保険料の支払いを強制するものだった。
7人の委員で構成されるPWSA経営委員会で委員長を務めるDan Deasy州下院議員(民主党、ウェストウッド選出)によれば、ピッツバーグ市と政治的なつながりのない民間企業に運営を委託することにしたのは、スキャンダルによって失墜した信用を回復する取組の一環だったという。

Veolia Waterがもたらした成果

Veolia Waterがもたらした成果についてPWSAのJim Good暫定局長は、利用者サービスのコール・センターの待ち時間が平均8分から平均4分へと半分に短縮されたこと、それに、270人から成る職員の雇用を維持し、一部の組合加入職員が怖れていたようなレイオフを回避できたことを挙げている。また、Deasy委員長は、2013年になって水道料金の値上げがおこなわれなかったことを指摘している。
いっぽう、Veolia WaterのNicholas開発部長は、PWSAの文化の変革に努めてきたと述べている。具体的には、ピザを分けあって食べる昼食会や、野外料理パーティーに職員を招待し、効率改善についてのアイデアをGood暫定局長らの局幹部と交換する場を設けた。
だが、Veolia Waterが上下水道を運営することに懸念の声をあげた職員らもいる。PWSAの125人の職員が加入する労働組合、ピッツバーグ合同団体交渉委員会は2013年2月、労働協約の申し出を拒絶した。取材の申し込みに対し、組合からは2013年4月5日現在返答は得られていない。
Good暫定局長によると、年間の収入増のうち100万ドル(約9900万円)は、ある食品加工業者を説得して自家用井戸の使用をやめさせ、その代わりにPWSAの水道を使ってもらうようにしたことによる。Good暫定局長は秘密保持契約を理由にその食品加工業者の名前を明らかにしていないが、その業者への水道の接続は2013年4月8日に完了するとしている。
PWSAの収入増はまた、ビルのなかに大規模な防火システムをもつおよそ1000件の大規模な商工業利用者に対して課金が見過ごされていた消火栓接続料の徴収に踏み切ることによってももたらされた。

Veolia Waterへの特別報酬と今後の契約

PWSAとVeolia Waterとの契約によると、同社が受け取ることのできる特別報酬は最高150万ドル(約1億5000万円)で、そのほかに、Veolia Waterの貢献で局が節約できた費用の50%が受け取れることになっている。
Veolia Waterは、今回、数十万ドルの特別報酬を手にしたことを明らかにした。正確な金額については直ちに言うことはできないとしながらも、近日中に公表するとしている。
また、PWSAは、Veolia Waterとの契約を6ヵ月間延長するオプションを2013年7月に行使することができる。経営委員会のDeasy委員長は、自分は契約延長に賛成するつもりだと述べている。

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