Suez Environmentの経営陣刷新について、Debon新CEO代理に訊く

Suez Environmentは、さらなる成長のチャンスを生かすべく、経営上層部を再編成した。以下は、新たに国際部門のトップの座についたMarie-Ange Debon新CEO代理が語ったSuez Environmentの成長戦略である。
Marie-Ange Debon
は、Suez Environmentグループの組織構造の強化と成長計画の加速化を目的とした経営陣の大幅異動の一環として、前任のThierry Malletに代わり、2013年4月15日から同グループの国際部門を率いることとなった。

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経営陣刷新の狙い

Suez EnvironmentグループのJean-Louis Chaussade CEOは、Debonを含め、グループの中核を担う4人のCEO代理を任命したが、これには、4つの主要な成長軸――スマート・ウォーター・サービス、廃棄物再生利用、国際展開、および産業用水――のすべてにおいて収益性を伸ばす狙いがある。
Debon新CEO代理はこう言う。「目的は、成長と競争力の強化に集中すること、それに、この2年ないし3年のあいだにしてきたことを継続していくことにある。わたしには優先課題がふたつあって、ひとつは、われわれが事業を展開しているすべての国で、いまよりも統合化された仕方で事業を進めること、もうひとつは、発展へ向けた新たなチャンスを生かすことだ」

国際部門における水事業と廃棄物事業

Debonが統括する国際部門で、水事業と廃棄物事業の比は、現在のところおよそ2対1となっている。「この比率が大きく変わるとは思わないが、市場の知恵とわれわれの現有チームの知見をと活用して、水事業と廃棄物事業がたがいに補い合うような展開をさらに推し進めていくというのが、われわれの考えだ」とDebon新CEO代理は言う。
Debonはさらにこうつづける。「いくつかの国では、水と廃棄物の両方の事業を展開する機会を得ている。国によっては、その片方しか展開できていないところもあるが、そういう国でのわれわれの目標のひとつは、すでに展開している事業を利用して、もう一方の事業も進めることだ。たとえばモロッコでは、われわれは特に現地法人のLydecの活躍もあって水の事業できわめて大きな存在になっているが、あと数年のうちに、おそらく水よりも廃棄物のほうを伸ばしていくことになると思う」
DebonがSuez Environmentグループに加わった2008年は、ちょうど同グループがGDF Suezから分離独立した時期にあたる。今回のグループ・レベルの組織再編についてDubonは、この再編が、傘下のAgbarのチリにおける水事業からの年間8億ユーロ(約1100億円)の売上がヨーロッパ水部門のものに現在なっているという一見変則的な事態を是正しようとしてのものでは決してないとして、こう述べている。「われわれは、いまの組織編制にじゅうぶん満足しており、これが現段階ではきわめて効率がよいと考えている」

資本集約度の低いビジネス・モデル、スマート・ウォーター・サービスの国際展開

国際部門は向こう4年間に売上高で6%ないし8%の成長をめざしており、この目標が達成できるかどうかは、資本集約度のより低い新たなビジネス・モデルが開発できるかどうかにある程度かかっている。しかし、このことは、Suez EnvironmentがBOTプロジェクトへの資本参加を控えることを意味しているわけではない。たとえば、2013年4月はじめ、グループ傘下のSITAは、ポーランドにおいて年間21万トンの廃棄物をエネルギー利用するプラントの建設・資金調達・運営の契約を獲得した。こうした動きについてDebonはこう述べている。「BOTに巨額の投資をするのが目標ということでは決してないのだが、BOTが財務面でベストの選択であり、しかも契約という観点からも当を得たものである場合には、BOTへの投資を検討することもありうる」
グループがこれまで開発してきた資本集約度のより低いビジネス・モデルのひとつに、スマート・ウォーター・サービスの提供がある。このビジネス・モデルでは、国際市場への展開が課題のひとつになっている。2012年、Suez Environmentはスマート・ウォーター・サービスから3億ユーロ(約400億円)の売上を得たが、これは年率にして17%の伸びにあたる。Debonは、自らが率いる国際部門の顧客によるこのサービスの利用を増やす決意であることを、つぎのように語っている。「ヨーロッパにおける水ビジネスで、われわれにはスペインとフランスという強力な事業基盤があり、そこで培った技術と専門的知見をてこに、ソリューションをヨーロッパ以外にも売っていく考えだ」しかし、Debonのこうした決意にもかかわらず、スマート・ウォーター・ソリューションで年率10%を超える伸びを維持するためには、Suez Environmentは特に発展途上の市場において、かなりの困難を覚悟しなければならないだろう。「われわれには、資金力があって、しかもその資金が回収できることを理解してくれる顧客が必要だ」とDebonは言う。

メルボルンの淡水化プロジェクトについて

Debonの前任者のThierry Malletは、国際部門のトップの座を退いて、新設のイノベーション・ビジネスパフォーマンス部門を率いることになった。この異動について、メルボルンの淡水化プロジェクトでグループがかなりの損失をこうむった責任を問われて詰腹を切らされたのではないかとの見かたがあるが、Debonはこれをきっぱりと否定している。「技術的な観点から言うと、メルボルンのプラントは成功以外のなにものでもない」とDebonは言う。「現段階では、財政的な見地から成功だったかどうかは言えないが、あのプロジェクトにはチームが一丸となって多大な情熱と専門的知見をそそぎ込み、全体として、われわれは2012年12月に納入できたものに満足している」
3つの主要な事業部門――ヨーロッパ水部門、ヨーロッパ廃棄物部門(SITA)、および国際部門――と緊密に連携をとって、それらを技術とマーケティングの面で支援していくことが、Malletの新たな役割になる。