ブラジル政府、河川湖沼等の管理改善に5年で約49億円を州に交付へ

ブラジルの国家水資源局(ANA)の幹部が2013年3月26日に語ったところによると、同国政府は、26州が実施する河川、湖沼、および貯水池の管理改善のそれぞれの目標について、それを達成したすべての州に総額で1億レアル(約49億円)を交付する5年計画のプログラムを3月21日から開始した。
ANAのPaulo Libanioプログラム・コーディネーターによれば、「Progestão」(プロ・マネジメント)と呼ばれるこのプログラムは、環境省とANAが共同で実施し、ANAが策定したイニシアチブにしたがって水資源管理の改善を実施したそれぞれの州に、5年間で375万レアル(約1億8500万円)を交付する。
このプログラムのもとで毎年の交付金をうけるには、各州の政府、工業団体、農業関連産業団体、および環境団体の代表らで構成される官民の協議機関である州水資源協議会が、ANAのイニシアチブにリンクした毎年の数値目標を設定し、それを達成しなければならない。

各州に求められる行動

各州は、このプログラムによる交付金をうけるには次に掲げるいくつかの事項を実施していなければならない。

  • 明確な基準にもとづく体系化された水利用許可プロセスを確立していること。たとえば、水利用許可をあたえる州の環境または水資源担当部署は、河川水の直接の利用者が下流の利用者に影響をおよぼさないことを確認しなければならない。
  • 水質モニタリングをまだおこなっていない場合はそれを開始し、すでに実施している場合はその方法を改善しなければならない。貧困州では、水質モニタリングの実施にまだ手がついていない。
  • 水利用者の登録情報を整備してデータバンクを作成し、河川、湖沼、または貯水池の水を直接利用する工業や農業関連産業などのユーザーに対し、州政府への登録を義務づけなければならない。この登録とデータバンクが、水利用許可の際に役に立つ。州はまた、登録情報を連邦政府に提供しなければならない。
  • 流域管理委員会――州内の流域における水利用を管理する官民混成の合議体――を設置し、流域管理計画を実施しなければならない。州はまた、州全体の水資源について独自の管理計画を策定しなければならない。
  • 水の直接利用者に流域管理委員会が課金している4つの州においては、州は水の利用料の設定と、利用料収入をどのように水管理の改善に役立てるかの決定について、委員会に助言しなければならない。

資金の交付は成果しだい

このプログラムによる資金の交付方法について、ANAのLibanioコーディネーターはこう述べている。「これまでは、特定のプログラムにリンクした水管理改善をしようとしている州に対して、ANAは資金を交付してきた。水管理の改善に関して『成果しだいの交付』の方式をとるのは、今回が初めてだ」
ANAは、各州がこの資金の交付をうけるかどうかの判断を2014年半ばまでにするものとみているが、判断の期限はいまのところ設けていない。すでに10州が、交付金の受領に関心を示しているという。
いっぽう、ANAはこの交付金とは別に、複数の州を流れる河川の水の利用を管理し、場合によってはそれに課金している州間流域管理委員会に対し、資金を提供している。
今回の資金交付プログラムで各州の水資源協議会が設定して達成しなければならない年ごとの数値目標について、Libanioコーディネーターは次のような例を示している。「各州は、5年の交付期間の各年の何月何日までにいくつの水質モニタリング・ポイントを設定するかを、明示しなければならないだろう。また、5年の交付期間の各年の何月何日までに何件の水の直接利用者を登録するかを明示しなければならないだろう」

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