タンザニア、水プロジェクトに中国、インド、イスラエルの企業を誘致

タンザニアの水省によれば、同国は以前に試みた水道事業の民営化の失敗をうけて、官民協力による展開をはかるため、中国、インド、およびイスラエルの企業と話し合いを進めている。
水省都市水道局のYohana Monjesa局長が語ったところでは、このうち、中国機械設備工程股分有限公司が、タンザニア最大の都市で経済の中心地であるダルエスサラーム、および北部の都市アルーシャの5億ドル(約500億円)規模の上下水道プロジェクトへの参入に関して、同国政府とすでに覚書を交わしている。また、インドのWapcos LtdやOverseas Infrastructure Alliance Ltdなどの企業との話し合いもすでにはじまっている。
水省はさらに、淡水化プラント・メーカーとしては世界のトップ・スリーにはいるイスラエルのIDE Technologies Ltd(本社:カディマ)とも、ダルエスサラームでのプロジェクトの可能性について2013年3月から話をはじめている。Monjesa局長によれば、これについてはパイロット・プログラムの計画がすでにあるが、費用の見積りがまだできていないという。
Monjesa局長は2013年6月5日、ダルエスサラームで会見に応じ、こう述べている。「水省は、上水道事業をいまのところまだ民間部門と協力しておこなっているわけではないが、外国企業とのこうしたプロジェクトによって状況に変化が生じる可能性がある。われわれが(民営化ではなく)官民パートナーシップを推進しようとしているのは、民間部門がこれまで、思ったほど積極的に動かなかったことにもよる」

農村部の上水道普及率の大幅向上が課題

水省によれば、国土のおよそ3分の1が乾燥地または半乾燥地であるタンザニアにおいて、上水道の普及率は都市人口の86%、農村人口の57%となっている。
2013年5月24日にジャカヤ・キクウェテ大統領が明らかにしたところによると、タンザニアは2025年までに農村地域における上水道普及率を90%に引き上げることを計画している。政府によればタンザニア国民が罹る病気の半分以上が水媒介疾患だという。
Monjesa局長によれば、上水道の普及に関してタンザニアが直面しているいちばんの問題は、ただでさえ不足している水資源が気候変動とともにますます減少してきていること、それに、地表水や地下水を利用できない地域や水質が利用に適さない地域にいかに水を供給するかということである。

近い将来の民営化計画、なし

Monjesa局長はまた、ダルエスサラームの水道ユーティリティ運営契約をめぐって2005年にタンザニア政府とイギリスのBiwater Plc(本社:ドーキング)とのあいだに紛争があったことを踏まえて、近い将来に上水道を民営化する計画はないと語った。
Biwaterは投資家グループと組んでCity Water Servicesという合弁企業を立ち上げ、これが2003年に、ダルエスサラームの上水道を運営する10年契約をタンザニア政府から獲得した。ところが、それから2年後、タンザニア政府は、City Water Servicesが契約の合意事項であった水不足への取組、配水ネットワークの拡張、および料金収入増をなしえなかったとして、契約を打ち切った。
これに対してBiwaterはタンザニア政府に2000万ドル(約20億円)の支払いを求めて国際投資紛争解決センターに提訴したが、紛争解決センターは2008年にBiwaterの訴えを棄却した。ことのきBiwaterは、タンザニア政府がイギリスとの二国間投資協定にいくつかの点で違反していることを紛争解決センターが認めている以上、同社は補償を受けてしかるべきであると主張していた。
こうしたことを踏まえて、Monjesa局長はこう述べている。「現状では、上水道に投資するのは国の責任だ。わたしは、この時点で上水道を民営化するのは適当ではないと考えている」

なお、EUの当局が2012年12月に明らかにしたところによると、タンザニアは国内の上下水道プロジェクトのために、EUとドイツから7130万ユーロ(約93億円)の資金提供を受けることになっている。

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