テキサス州、リオグランデ川の水資源をめぐったニューメキシコ州相手の訴訟を続行へ

合衆国最高裁判所は2014年1月27日、リオグランデ川の管理をめぐりテキサス州がニューメキシコ州を相手取って起こした訴訟で、訴訟続行を認める判断を下した。
この訴訟でテキサス州は、テキサスとニューメキシコの州境付近での地下水汲み上げが、テキサスの農民と住民からリオグランデ川の水を奪っていると主張している。
これに対してニューメキシコ州は、下流の水利用者は両州の協定にしたがって必要な水を得ており、最高裁はこの紛争を下級裁判所の審理に委ねるべきだったと主張している。
最高裁の判断をうけて、ニューメキシコ州のGary King司法長官は同日、この判断に驚いてはいないとして、つぎのように述べた。「最高裁がこのような州間の紛争をきわめて真剣に捉えてくれることを確信しており、ニューメキシコ側からの主張を展開して法廷で勝利できる日がくるのをたのしみにしている」
最高裁はニューメキシコ州に対して、訴えを棄却する申し立てを60日以内におこなうことを認めている。テキサス州の側にも、それに対して対抗手段をとる機会があたえられる。

紛争の主原因はニューメキシコ州の長期渇水

この訴訟は、テキサス州環境質委員会が1年以上前に、ニューメキシコ州が1938年のリオグランデ協定に違反しているとして最高裁に訴え出たものである。リオグランデ協定とは、リオグランデ川の水の分配方法に関するテキサス、ニューメキシコ、およびコロラドの3州間の取り決めである。いっぽう、ニューメキシコ州のKing司法長官は、連邦政府とふたつの灌漑区――ひとつはテキサス州内、他のひとつはニューメキシコ州内――のあいだで2008年に成立した合意により、水の割当に関してニューメキシコ州に不利な変更がなされたと主張している。
ニューメキシコ州南部の農地に水を供給しているエレファントビュート灌漑区の当局者によれば、テキサスとニューメキシコのあいだで法的な争いが起きればニューメキシコ州ドニャアナ郡の農家が地下水の利用権を奪われてけっきょくは損害をこうむることになりかねず、2008年の合意はそれを防止するためのものだったという。
この数年、ニューメキシコ州はほぼ全域が渇水に見舞われ、リオグランデ川の複数の河川区間が時として干上がり、同川の水を蓄える複数の貯水池の水位が記録的な低下を見せた。この冬も水不足が緩和される保証はまったくなく、農家は依然として、トウガラシ、タマネギ、ペカンといった主要作物の作付けをするべきか否かの難しい選択を迫られている。
2013年の渇水をなんとか切り抜けてきたのは、灌漑に井戸水を利用してきた農家である。リオグランデ川には、ニューメキシコ州が使うのにじゅうぶんな水が残されていなかったのだ。2014年になっても、どれだけの水が灌漑に割り当てられるかは当局者でさえ予測しかねている。