GEのABMet技術、Anglo American傘下のカナダの炭鉱で採用

GEの高度生物学的金属除去プロセス(ABMet:Advanced Biological Metals Removal Process)技術を、世界最大手の鉱山企業のひとつであるAnglo Americanが、同社傘下のカナダの炭鉱――ブリティッシュコロンビア州タンブラーリッジのPeace River Coal社Trend炭鉱――で採用した。Trend炭鉱ではこの技術を、廃水から硝酸塩とセレンを除去するのに使用する。これはカナダにおけるABMet採用の初のケースとなる

水質規制の強化に対応

Trend炭鉱は2006年から操業しているが、ブリティッシュコロンビア州の規制が強化されたことから、Anglo Americanは廃水中の硝酸塩とセレンを除去するために新たな廃水処理プラントを建設することにした。処理プラントは現在建設中で、完成とともにターンキー方式によってTrend炭鉱に引き渡され、重金属除去を含むフレキシブルなソリューションを提供することになっている。GEのABMet技術の採用によってAnglo Americanは、ブリティッシュコロンビア州が定めたセレンおよび富栄養化物質の厳しい排出基準の遵守が可能になる
ABMetはGEが特許を取得した生物学的水処理システムで、炭鉱や発電所からの排水に含まれる汚染物質であるセレンや金属類の量を、自然界に存在する微生物を使って低減する。GEのABMetプロセスでは、廃水を生物学的に活性化されたフィルターで濾過する。このフィルターには、セレンや有害な金属等を除去する天然の微生物が「植え込まれ」ている。セレンは通常であれば廃水からの除去が難しい物質だが、ABMetはこれを捕捉し、廃水の流れから取り除くことができる。

他の採掘現場への導入も視野に実証プラントとしても活用

今回のABMet採用について、Anglo American傘下のPeace River Coal社でスペシャリスト・プロジェクト・エンジニアを務めるBrendan Crispはこう述べている。「廃水処理プラントにGEのABMet技術を採用するに先立って、われわれはまず予備調査を実施し、複数の業者を対象としたコンペをおこなった。そこでGEが、硝酸塩とセレンの排出基準を満たすターンキー方式の廃水処理ソリューションを提示してくれた。このプラントはまた、ほかの採掘現場においても新たな廃水処理プラントをつくることを視野に、性能評価と基準づくりのための実証プラントとしても利用することになっている」
建設中の廃水処理プラントは、硝酸塩とセレンの排出濃度を目標値以下に抑えつつ毎秒24リットル(毎分380ガロン)の廃水を処理できるよう設計されている。1リットルあたり85ミリグラムの硝酸塩濃度を同3ミリグラムに、また、1リットルあたり130マイクログラムのセレン濃度を同5マイクログラムにまで下げるのが目標である。このシステムはまた、こうした処理性能を、後処理の必要なしに4.4℃以上の水温で発揮するよう設計されている。

処理の困難な廃水に最適

ABMet技術について、GE Power & Waterの一部門であるWater & Process Technologiesでエンジニアード・システム事業部長を務めるYuvbir Singhはこう述べている。「われわれは、環境規制をクリアするためにセレン、硝酸塩、硫酸塩、重金属などの汚染物質を除去する必要がある鉱山廃水処理の分野で、ソリューションを創造することを約束している。われわれのABMet技術は、処理の困難な廃水に最適であり、Anglo AmericanのPeace River Coalの現場に完璧にフィットする」
このプロジェクトの建設とエンジニアリングを、GEはLockerbie Stanley(AECONの一部門)およびStantecと協力して進めてきた。この廃水処理プラントは2014年夏に本格運転を開始する予定である。