ベネズエラ政府、ブラジル企業への上下水道などのインフラ請負工事費20~25億ドルが未払い――その70%はOdebrecht社向け

ブラジルの経済専門紙 Valor Economicoによると、ベネズエラの下水道インフラ工事などの公共事業を請け負っているブラジル企業に対する、ベネズエラ政府の債務が 20~25億ドル(約2040億円~2550億円)に達している。債務のうち70%はOdebrecht社向けで、同社はベネズエラで1万3000人を雇用し、カラカス市の地下鉄工事、カラカス空港の新滑走路建設、水力発電所、橋梁建設の他、汚水のタビアソ石油化学工業用水への変換処理プラントや、サンペドロ川からグアイレ河に流れ込む汚水の処理プラント建設などの事業を請け負っている。

ブラジルのルラ前大統領とベネズエラの故チャベス大統領は良好な関係を築いており、2003年から2010年の間にルラ大統領は16回ベネズエラを訪問、チャベス大統領も20回ブラジルを訪問しているが、ブラジルの現ルセフ大統領は3回のみ、ベネズエラの現マドゥロ大統領は1回しかブラジルを訪問していない。またOdebrecht社は、2012年に現大統領の政敵である大統領選候補だったカプリレスと接触があったとして、政府との関係が悪化している。同社による、全長11kmのラテンアメリカ第2の規模となるオリノコ川への橋梁建設は、2006年に開始して建設が62%まで進んでいるが、資金不足で建設が大きく遅延しており、2012年完成予定だったのが2016年に延びている。

ベネズエラでは、2月12日に反政府派によるデモが行われたのを皮切りに各地で混乱が続いており、3月12日までに20名が死亡している。また、2013年11月にCENCOEX(国家外国貿易センター)が設置され、旧来のCADIVI(国家外貨管理委員会)を廃止して新たな制度に切り替える過程にあるが、国家による外貨供給がいつから正常化するかは不明である。2013年3月現在の外貨準備高は210億ドル(約2兆1420億円)以下となっているが、国家は石油部門を保有しており、FONDEN(国家発展基金)の原資が1300億ドル(約13兆2600億円)ある為問題ないと、政府は発表している。

Odebercht社は、遅れは業界では通常の範囲内であると述べているが、信用格付け会社のムーディーズやフィッチは、同社はベネズエラ、アルゼンチン、アンゴラ、リビアなど、カントリーリスクの高い国でのオペレーションの比重が高いことに警告を発している。

尚ベネズエラ政府は、2015年までに飲料水普及率を95%とすることを目標としている。2012年には、カラカス市の下水収集処理プロジェクト及び人口5000人から50万人の地方都市の飲料水質改善プロジェクトに、米州開発銀行による25年返済の融資4億ドル(約408億円)が承認されている。

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