チリの建設商工会議所、チリの発展の為には2018年までにUS$36.5億の水インフラへの投資が必要とする報告書発表

チリの建設商工会議所 CCHCは、2014年5月5~7日に開催された「明日に向けたインフラ事業セミナー」で、チリ発展の為に重要なインフラの、2014-2018年及び2014-2023年の展望をまとめた報告書を発表した。道路、空港、港湾、鉄道、水インフラ、エネルギー、病院などの各部門の分析をまとめたもので、水インフラ部門では2014-2018年に36.5億ドル(約3710億円)、2014-2023年には117.5億ドル(約1兆2000億円)の投資が必要とされている。

2014-2018年に必要な投資36.5億ドル(約3710億円)のうち、36%は水資源管理、40%は上下水道整備、24%は洪水対策向けとなっている。このうち上下水道整備部門では、都市部に2億5000万ドル(約254億円)、農村部に12億ドル(約1220億円)の投資が必要とされる(下図)。

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図 2014‐2018年の各セクターへの必要投資額(単位は億ドル)

 

都市部と農村部への上下水道投資に関する詳細は以下の通りである。

 

都市部の状況

現在、都市部の人口1540万人の上下水サービスは53社により運営されているが、そのうち24社で99.4%がカバーされている。最大の運営会社は、国民全体の37%をカバーするAguas Andinas社で、続いてEssbio, ESVAL, Nueosur, Aguas Araucania, EESAL, SMAPA, Aguas del Velleの7社がそれぞれ4~15%をカバーしている。

上下水道網は全国で約7万km。全国レベルでの飲料水生産能力は84m3/秒で、飲料水の供給源の47%は地下水、53%は地表水となっている。上水道の普及率は全国レベルで99.8%、下水道普及率は96.1%、下水道の下水処理率は94.2%である。

水の世帯当たりの使用量は平均19m3/月で、世帯当たりの人数減により過去10年間で減少しているが、水の一人当たりの平均供給量は185リットル/日と、過去と同じレベルを維持している。上下水サービス料金は、平均1.5ドル/m3である。上下水道は都市部ではほぼ完全普及となっているが、飲料水の質の基準は先進国よりも低くなっており、現在進められている基準改正により、新たな投資が見込まれる。

水損失率は35.1%で、うち74%は上水道での損失と推定されている。上水道での損失は年々増加しており、上水道の老朽化対策が必要となっている。都市部で2014-2018年に必要な投資2億5000万(約254億円)のうち、2億1000万ドル(約213億円)は上下水道整備、4000万ドル(約41億円)は下水処理向けとなるが、都市部の上下水道普及率は100%に近づいている為、必要な投資は主に修理とメンテナンスであり、この投資額は前期の18%となっている。

 

農村部の状況

現在、全国で185万人をカバーする、人口150人以上で人口密度15世帯/km2の農村部では、上下水道が1599のシステムにより100%カバーされており、飲料水供給量は都市部より若干少ない150リットル/日となっている。2000年からの上下水道整備への投資額は、2013年までの累積で1億ドル(約101億円)に達している。

一方で、農村部の今後の課題は、全国で40万人が住む人口80人レベルの農村の上下水道を整備することにある。現在、上水供給網がカバーされている村落の下水道網普及はわずか12%となっている。農村部全体では合計36.5億ドル(約3710億円)の投資が必要であり、うち11.5億ドル(約1170億円)は上水供給網整備、25億ドル(約2540億円)は下水道整備であるが、下水道整備は投資金額が大きいため整備期間を20年間とし、上水網整備期間を10年間とすると、2014-2018年の必要投資額は、12億(約1220億円)となる。

チリ建設商工会議所の報告書は、以下のサイトでダウンロード可能(スペイン語表記)。
http://www.cchc.cl/wp-content/uploads/2014/05/Infraestructura-Critica-para-el-Desarrollo.pdf

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