米で下水中の医薬品等が浅層地下水を汚染

米国で、医薬品等による浅層地下水の汚染が見つかった。汚染は、処理済みの下水が川に放出された地点より下流側で起きており、下水に含まれる医薬品等が原因と見られている。

沈殿物に付着せずに素通り

この問題を調査するため、米地質調査所(USGS)はフォーマイル・クリークという小川でサンプルを採取した。これは、アイオワ州デモインの近郊を流れる小川で、水流のかなりの部分を処理済みの下水が占めている。サンプルの採取は、2012年の10月と12月におこなわれた。これは、フォーマイル・クリークの水量が減り、処理済みの下水が水流の最も大きな部分を占める時期にあたる。

採取されたサンプルは、110種類の医薬用化合物のほか、パーソナル・ケア用品やホルモンなどの化学物質が含まれているかどうかを調べるための分析にかけられた。こうした物質は水に溶けるため、他の物質と違って、沈殿物に付着して濾過されることなく地下にしみこむ。

間接的水再利用の議論にも影響

分析の結果、処理済みの下水の放出地点よりも下流で採取したサンプルから、最小で48種類、最大で61種類の医薬用化合物が検出された。また、川岸からおよそ65フィート離れた地点で採取した地下水からは、最小7種類、最大18種類の医薬用化合物が検出された。

最も濃度が高かったのは、小川で採取したサンプルの場合は糖尿病治療薬のメトホルミンの7810 ppt(1 pptは1兆分の1)、地下水のサンプルの場合は抗ヒスタミン剤のフェキソフェナジンの87 pptだった。

この結果について、USGSで調査を指揮したPaul Bradleyはこう述べている。「この調査は、間接的水再利用に浸透濾過を用いることについて、重要な示唆をあたえている」