ペルー・リマ市の上下水道サービス公社民営化に反対し、市民や労働者3千人がデモ

2014年8月末に経済大臣が、リマ市の上下水道サービス公社SEDAPALの民営化を検討すると発表したのを受け、9月11日に3000人以上の市民及びSEDAPAL労働者が民営化に反対するデモ行進をおこなった。

経済大臣によると、民営化は、SEDAPALの民間企業への売却ではなく、2004年3月12日からリマ株式市場に登録している株の40%までを株式市場で売買することによるもので、2014年上半期の収益が前年同期比マイナス51.9%となっているSEDAPALへの民間の参画により、運営の効率化と収益向上を目指すものである。上下水道サービスを管轄する住宅相は既に2014年7月に、SEDAPALの株を2016年までに民間に公開すると述べている。尚ペルーでは2013年末に、国営石油公社Petroperuの株の49%までの売却を可能とする法が承認され、2014年7月には国営電気会社の49%までの民間への株売却が発表されている。

SEDAPAL民営化には、10月初めのリマ市長選候補者達も反対しており、その理由として、以下が挙げられている。

  • 水は国民にとって重要な資源であり、民間の営利対象とすべきではない。
  • 上下水道サービスは、社会的事業の性格を持つものである。
  • 民営化するのではなく、現在中央政府によって運営されているSEDAPALの経営に、市の代表者を出すべきである。
  • 現政府は、ナショナリズムをうたうことで政権をとっているのに、民営化を進めるのは矛盾している。
  • 運営改善は、民営化によるものではなく、官民連携の形態を検討すべきである。
  • 運営の不備は、政府がやっているからではない。民間の経営となっても、経営者や経営陣の手腕にかかっている。運営立て直しには、優秀な人材をトップに任命し直しすのが最良である。

抗議を主導したSEDEPAL労働者代表は、民営化されることにより、雇用形態が自由化されて正社員としての雇用が脅かされる点、また住民代表は、民営化により収益性のある地区のみ優先され、飲料水や下水道完全普及への投資が遅れるであろう点が指摘されている。尚2013年3月に民間NGOとビジャレアル大学が実施したアンケート調査では、リマ市民の46%はサービス向上のため民営化に賛成していた。

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