ペルー、2021年までに上下水道を100%普及させるには民間との提携が必須に

ペルーの住宅・建設・上下水省副大臣は、ペルーのリマ市で開催されていたCOP20のパネルディスカッション「ウォーターセキュリティによる弾力的な経済の構築」で、2021年までに上下水道普及率を100%とする為には、合計535億ヌエボソル(約US$180億)、毎年約65億ヌエボソルが必要であるが、政府が拠出出来るのは年間25億~30億ヌエボソルであり、毎年30億ヌエボソル以上が不足することになると発言した。また、50の上下水道サービス会社は、適切なサービスを提供する能力不足に陥っている事にも言及した。

このため現在住宅・建設・上下水道省は、民間資本のイニシアチブによる上下水道サービスへの投資を推進しており、例として、チチカカ湖の10の区域で汚水処理をしている10のサービス会社を、今後30年間で一社に一本化するイニシアチブを挙げた。

またCOP20の別のパネルディスカッションでは、地球温暖化ガス削減を目指した、「気候変動緩和の為の上下水サービス会社プロジェクト(WaCCliM)」も紹介された。これは、飲料水を効率的に生産し、汚水処理で発生するエネルギーを自家発電に利用するコンセプトのもので、ラテンアメリカではメキシコと共に、5百万ユーロの技術支援で推進されている。

なおペルーの住宅・建設・上下水道省は2014年9月15日、2014年から2021年までに約US$184億投資し、飲料水普及及び下水道普及を100%とすることを目標とする、「2014-2021年国家上下水投資計画」を承認する決議書No.336-2014を公布している*1

2014年10月の住宅・建設・上下水省による上下水部門の政策発表によると、都市部の上水普及率は、2011年が89.2%、2013年が93.4%、2016年の目標は95%、農村部は2011年が36.2%、2013年が63.2%、2016年目標が75%となっている(下図)。しかし現在143ある汚水処理場のうち、16は稼働不能、51はメンテナンス不足、43%は容量オーバーとなっている。また上下水道サービスは殆どが小規模の会社であり、スケールメリットが享受出来ず、財務状況が悪化していることが報告されている。

 

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図 上水普及率の推移および目標値

 

*1 EWBJ52号に関連記事有り「ペルー住宅省、2021年までに上下水道部門へUS$184億投資し、上下水道普及を100%とする国家上下水投資計画を発表

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