CDPサプライチェーン・レポート、サプライヤーによる水と気候変動のリスクへの対応進まずと報告

2015年1月、CDPは、Supply Chain Sustainability Revealed: A Country Comparison, Supply Chain Report 2014-2015を発表し、サプライヤーによる水害、台風、旱魃といった水に関連したリスクや地球温暖化のリスクに対する対応が2013年に比べほとんど進んでいないと報告した。また、アンケートに答えたサプライヤーの割合が増えたにも関わらず、温室効果ガスの排出量に関する開示率がわずかに減っていることを懸念している。本レポートは国ごとの分析を行っており、日本やフランスのように「規制の安定性」が高い国では対応が進んでいると法規制の重要性を述べている。最後に、サプライヤーが高い評価をうけることは、それ自体サプライヤーのコストやリスクを下げるだけでなく、ビジネスにも有利であると述べている。なぜなら、顧客の企業はこのレポートの評価をサプライヤー選定基準のひとつにしているから。

CDPは、CDPサプライチェーン・プログラムのメンバーである66の多国籍大企業に商品を納めているサプライヤーにアンケートを送り、79カ国、3396社から回答を得、以下の観点で各サプライヤーのリスクへの対応を評価した。( )内の数字は配点比率。

  • 温室効果ガス排出量の開示(20%)
  • 温室効果ガス排出量目標の設定(20%)
  • 温室効果ガス排出量削減計画(20%)
  • 気候変動リスク手順(20%)
  • 低炭素エネルギーの使用(10%)
  • 水に関連したリスク評価(10%)

以下に主な調査結果を述べる。

  • 水害、台風、旱魃といった水に関連したリスクを評価しているサプライヤーは55%。
  • 低炭素エネルギープロジェクトを導入しているサプライヤーはわずか22%。
  • 米国、中国、イタリアのサプライチェーンは「脆弱」である。

多くの米国のサプライヤーがA評価を獲得しているが、平均すると「脆弱」。つまり対応できているサプライヤーとできていないサプライヤーの差が大きい。

  • インドとカナダのサプライヤーの対応は不十分で、インドは特に温室効果ガス排出量に関する回答率が低い。
  • ブラジルはリスクに対する対応も意識も遅れている。
  • フランスは最もリスクが低く、対応も進んでいる。
  • 日本のリスクは高いが、対応は進んでいる。

CDPは調査対象者にアンケートを送り、質問に対する回答率と実際の行動をDisclosure とPerformanceと呼び評価している。Disclosureが基準を超えた回答者のみPerformance評価を受ける。サプライチェーンに関する調査は今回が2回目。

Supply Chain Sustainability Revealed: A Country Comparison, Supply Chain Report 2014–15は以下のURLで読むことができる。
http://www.accenture.com/SiteCollectionDocuments/PDF/Accenture-CDP-Supply-Chain-Report-2015.pdf