メキシコ環境監査局、河川に汚染物質を排水していた繊維工場など9社を閉鎖処分

メキシコ監査局PROFEPAは、衛生管理連邦委員会 COFEPRIS、国家水委員会CONAGUAと合同で実施した、プエブラ州、トラスカラ州にまたがる200kmのアトヤック河流域の3000以上の事業所の調査の過程で、河川に汚染物質をたれ流し、危険廃棄物取扱に不備があった9つの事業所を閉鎖処分した。
PROFEPAは、2015年2月3日から11日の間に14の事業所で危険廃棄物取扱いに関する検査を行い、1事業所を全面閉鎖、6事業所を一部閉鎖処分した。これらの事業所は、認可されたラボラトリーによる腐食性、反応性、爆発性、毒性、可燃性、生物感染性テスト結果を保持しておらず、危険廃棄物専用倉庫がないか、容量を超えた保管をしていた。また危険廃棄物排出者届けをしておらず、危険廃棄物の記録もとっておらず、防壁などの安全対策が整っていない場所に危険廃棄物のラベルを貼付せずに保管し、環境省の許可を受けた場所への発送証も持っていなかった。

この他 COFEPRISはトラスカラ州で、最大許容値を超える汚染物質を含む汚水を排出していた2つの事業所の活動停止を命じた。これらの事業所では、汚水排出権が失効しており、操業通知や危険廃棄物取扱い計画書も提出されておらず、危険廃棄物を取り扱う労働者への保護具が供与されていなかった。

今回検査を受けた事業所は、繊維工場8社、化学品工場3社、紙パルプ工場1社、食品工場1社となっている。アトヤック河では、2011年7月6日に公布された、アトヤック河とその支流への排水基準値規定が2015年1月1日から適用されているが、流域で何らかの汚水処理施設を持っているのは25市町村のみとなっている。またそれらのすべてが稼動しているわけではなく、23の市町村は汚水処理施設をまったく持っておらず、河の汚染は深刻な問題となっている。

PROFEPAの報告によると、アトヤック河には、毎日62.8トンの浮遊物質、14.7トンの栄養塩、0.14トンの鉛、クロム、カドミウム、銅、水銀、ニッケル、亜鉛などの重金属がたれ流されている。その他、製造業や居住地区からの排水には、微生物汚染物質も含有されている。