マレーシア、国内河川の汚染が深刻化――家庭や各種工業分野からの排水が原因に

2015年9月24日に現地で報じられたところによると、「World River Day」(世界河川の日: 9月の最終日曜日、今年は9月27日)を目前に控えたこの日、世界自然保護基金(WWF)マレーシアが同国の水資源が置かれた深刻な状況を指摘し、水質汚染の問題に意識を向けるよう訴えた。

WWFマレーシアのCEO、Datuk Dionysius Sharma氏は水質の低下はマレーシアにおける深刻な問題となっており、同国の水資源の持続可能性に悪影響をもたらしていると指摘した。彼によれば、特に水質汚染が進んでいるのがクランおよびクアラランガットであり、中でも湾岸地域の沿岸水域の水質が低下する一方であるという。この背景には、河川の上流の特に住宅地および工業地域において増加する廃棄物投棄、ならびに農業や土地開発などの活動があると彼は説明する。「急速な経済発展が、クランバレー(クアラルンプール首都圏)など経済成長が著しい地域においては特に、水道事業者のインフラに厳しい制約をもたらしています。人口増加は水需要を増大させ、排水の増加をもたらします。住宅地や商業地域、工業地域から出る排水は悪臭の原因となり、またごみがあるところでは雨水の質が低下し、既存の河川系が汚染されます」河川の水質汚染は、人類のみならず植物や生物、さらにはマレーシアの経済にも悪影響をおよぼしていると彼は説明する。またSharma氏は、汚染水を処理するためには多額のコストがかかり、また重度に汚染された排水を再利用できるまでに処理することは不可能だと彼は話す。

環境省が発行した2013年環境品質報告書によれば、合計473の河川のうち5.3%が汚染されており、36.6%に若干の汚染がみられた。Sharma氏は次のように警告する。「汚染された河川の割合は2012年と比較して1.7%低下したものの、若干の汚染がみられた河川の割合は2.6%増加しています。水質汚染の問題はいよいよ深刻化しており、このことは毎年水質が低下を続けていると報告されているとおりなのです」Sharma氏はまた、World River Dayと並行して、マレーシア国民は同国の河川の保全の重要性について考えることを迫られていると訴えた。