米国、鉛含有量告知の要件を強化する安全飲料水法改正案が下院を通過

2016年2月10日、民主党と共和党共同提案の法案、H.R.4470: Safe Drinking Water Act Improved Compliance Awareness Act(安全飲料水法、法令順守の周知を改善する法)が下院を通過した。この法案は、1974年安全飲料水法(Safe Drinking Water Act, 1974)を改正し、飲料水に基準値*1を超える鉛が含まれている場合、利用者に知らせる義務を公共水道事業者にたいし課す。また、飲料水に規準値以上の鉛が含まれている場合、環境保護庁(EPA)は、水道事業者、州、EPA、および影響を受ける利用者の間の情報共有を促進する戦略的計画を法律制定後120日以内に策定しなければならない。
この後、上院を通過し、大統領のサインを得ると、この法案は法律となる。

この法案のフルタイトルは、“To amend the Safe Drinking Water Act with respect to the requirements related to lead in drinking water, and for other purposes(飲料水に含まれる鉛に関する要件について、およびその他の目的のために安全飲料水法を改正する)”。

この法案の発端は、2014年4月にミシガン州のフリント(Flint)で発生したフリント水危機(Flint Water Crisis)と呼ばれる事件である。デトロイト市の上下水道局が水源を従来のHuron湖とデトロイト川からフリント川に変えた後、様々な問題が発生した。特に老朽化した鉛管からフリント川に溶け出した鉛による高いレベルの汚染が、深刻な健康被害の危険を引き起こした。いくつもの訴訟が起こされ、調査が開始された。オバマ大統領は緊急事態を宣言し、連邦緊急事態管理庁と国土安全保障章の支援を承認した。

フリントの水施設を再建するための資金の供給を目的とした法案も提案されている。

法案による安全飲料水の改正内容は以下のURLで読むことができる。
https://www.govtrack.us/congress/bills/114/hr4470/text

*1 「基準値」とは、EPAによる鉛規則1412条に規定されている鉛含有量。

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