インド、製糖業の排水基準を強化――取水量を測定するための流量計設置義務や複数の排水口の設置禁止など、基準値以外にも様々な条件を規定

インドの環境・森林・気候変動省は、2016年1月15日、水質汚染の抑止を第一の目的として、製糖業に対する工場の排水基準を強化する規則を官報で公布した。この改定された基準は、官報公示の日から施行された。インドでは多くの州で製糖工場が稼働している。

今回強化された排水基準について一部、以下の表に例示する。

項目 改定後
1) 排水量
– 最終的な処理廃液の排出
– 噴水池または冷却塔からの排水
サトウキビの絞りかす1トンあたり200リットル
(※改定前は400リットル)
サトウキビの絞りかす1トンあたり100リットル
サトウキビの絞りかす1トンあたり100リットル
2) 排水のモニタリング  効率的な工場操業を促すため、工場からの排水口は一つとする。
この排水口において、規定の要領に従って排水の水質を24時間オンライン監視する。
モニタリング項目

  1. pH
  2. 生物化学的酸素要求量 (BOD)
  3. 化学的酸素要求量 (COD)
  4. 総懸濁固体量 (TSS)
  5. 完全溶解固体物質 (TDS)
  6. 油分 (O&G)

※改定前はBODとTSSのみ

3) 排気に含まれる粒子状物質 150mg/m3

 

処理廃液によるかんがい、廃水保管・公害防止に関するプロトコルも策定

上記の他、今回改正された排水基準には、「処理廃液によるかんがい」、「廃水の保管および公害防止マネジメント」に関するプロトコル(作業要領)も規定された。廃液によるかんがいについては、性質が異なる土壌ごとに処理廃液の負荷率(単位:m3/ヘクタール・日)が示された。また、廃水の保管および公害防止マネジメントのプロトコルでは、各施設が過剰な復水(水蒸気を冷却・凝結させて水に戻したもの)を再利用するための冷却設備や浄水タンクを設置することを義務付けた。その上で、この廃液処理施設(ETP:Effluent Treatment Plant)はサトウキビの破砕が始まる1か月前に安定的な運転が可能な状態とし、さらに破砕の時期が終了した後1カ月間操業するものと規定された。さらに、原水の取水量を最小化するため、全ての取水口に流量計を設置することが義務付けられたほか、かんがい水の需要がない時期には処理廃液を不浸透性のライナーを敷いた池(容量:15日間分)で保管することが認められた。

政府は今回の発表の中で、今回の規制の強化により製糖業の事業効率が向上すると期待を示している。また、中央公害防止委員会(CPCB)と州公害防止委員会 (SPCB/PCC) が製糖業界に対し、上水の使用量を削減すること、操業の効率をチェックすること、および法令へのコンプライアンスを拡大することを目的として、具体的な措置を執る一助になるとしている。

製糖業の排水基準強化に関する上述の官報は、以下のURLよりダウンロードできる。
http://egazette.nic.in/WriteReadData/2016/167630.pdf

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