ドイツ環境庁、建物や建築資材からの有害物質浸出による土壌・水質汚染問題に対処へ

ドイツ連邦環境庁の「持続可能な建物委員会」が2016年6月、建物や建築資材に含まれる有害物質が流出することで深刻な土壌・水質汚染が発生している問題に早急に対処するため、勧告書を出した(以下のリンクから、勧告書の英語原文をダウンロード可)。
https://www.umweltbundesamt.de/publikationen/contaminant-input-to-the-local-environment-from

同委員会によると、建築資材の生産者に対するプランナーやクライエントのニーズにより、近年、より洗練され、迅速な施工が可能で、しかも低価格の建築資材の開発がますます加速している。新製品には、難燃剤、殺生物剤、軟化剤などが含まれている。このような有機材料は一定の気象条件に晒されると、雨水により有害な物質を外部に放出するおそれがある。それ以外の材料でも、銅表面のように、環境そのものに有害な物質を放出したり、地下水と接触する場合がある。こうして、ドイツでは最近、建築資材の成分が土壌や水質に浸出し、これらを汚染する問題の重大性が認識されるようになっている

このような趨勢に対抗するための同委員会の勧告は、次のとおりである。

(1)  建築製品からの物質浸出に関して、法的な最低基準を定める必要がある(ドイツ当局向けの勧告)。

(2)  建築製品の「性能宣言書(DoP)」中の物質浸出挙動の申告を簡単なものとしつつ、さらに建築業者、ユーザー、許認可当局に十分な情報を提供するには、欧州斉一的なDoPフォーマットを策定する必要がある(欧州委員会向けの勧告)。

(3)  建築製品からの物質浸出に関して、適切な浸出テストを行うことができるし、その環境影響を自主的に伝達することも可能である。これを実行するため、たとえば建築製品向けのブルーエンジェルや「環境製品宣言(EPD)」を活用することができる。さらに、EU建築製品規則は、DoPやCEマーキングのための自主的なツールとして、「欧州技術評価(ETA)」を使えるようにしている。いずれにせよ、CEマーキングに、物質の浸出挙動を法的に統合するための措置を進めていく必要がある(持続可能な建築分野のステークホルダー向けの勧告)。

(4)  雨水管理を徹底する必要がある。ドイツの水資源法は、雨水の現場浸透を要求している。しかし、建物の計画承認や建築許可では、雨水管理がほとんど考慮されていない。洪水対策や都市帯水層を守るには、透水表面の比率が非常に重要である。それゆえ、都市のシール面を制限する必要がある(透水ブロックの設置、シール制限、シール撤去など)(建築研究、プランナー、コミュニティ向けの勧告)。